【漫画】おじさんが焼肉ではしゃぐのはみっともない? 部下とのコミュニケーションに悩む上司を描く『君の胃袋を借りたい』

 部下とのコミュニケーションに悩む中年の課長。目の前には1人で大量の食事を口に運ぶ寡黙な部下。焼肉食べ放題のクーポンが目に入った課長は思わず……。

 上司と部下が気持ちを通わせながら共に食事をする漫画が、Xにアップされた。本作は各種配信サイトで好評配信中の漫画『君の胃袋を借りたい』の第一話だ。

 今回は設定誕生の経緯や作品に込めたメッセージについて、漫画家やイラストレーターとして活動する作者の深蔵(@fukazou)氏に話を聞いた。(青木圭介)

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『君の胃袋を借りたい』(深蔵)

ーー本作を創作したきっかけを教えてください。

深蔵:本作は、forcsの「じるみて」というレーベルで制作している作品の第一話として作成しました。元々は出張編集部に持ち込みをするために自主制作していたのですが、回り回ってforcsから配信させてもらえるようになったんです。

ーー気を使いすぎてしまう上司と誤解されがちな部下が、食を通して感情を表現していく描写が印象的でした。設定が誕生した経緯を教えてください。

深蔵:同年代の友達と食事に行ったときに、「やっぱり昔ほどは食べられなくなったよね」という話になることが多くなったんです。そこで「若い頃はもっと食べられた」という話から、「ここに若い子がいたらもっと色々なモノを食べられる」という話になって。実際にあった会話や私の気持ちから、本作のタイトルにもなっている“胃袋を借りる”というテーマを考えました。そこから、メインキャラクターである2人の関係性なんかも創っていった感じです。

ーー特に大森というキャラクターを描くうえで、こだわっていることは?

深蔵:大森くんは結構ズバッと言うタイプなんですけど、読んでいただいている方に嫌われたくはないんです。なのである種の正論というか、共感してもらえるようなキャラクターにして、嫌悪感を抱かれないように意識しています。

ーー本作を通して伝えたいメッセージはありますか?

深蔵:私自身あまり感情表現が豊かな方ではなくて、どちらかと言うと大森くん寄りの人間です。生きているとやっぱり感情表現とか人間関係の難しさってあると思うんですけど、無理して周りに合わせる必要はないのかなと思っています。気を揉まなくても仲良くなれる人とは仲良くなれるし、あまり無理しないでと伝えたいですね。

ーー本作のなかで、深蔵氏自身が気に入っているポイントは?

深蔵:最初は本当に無表情な大森くんですが、後半になるにつれて少しずつ感情が顔に出始めるんです。その移り変わりは、描いていても楽しかったです。

ーー深蔵氏が漫画を描き始めたきっかけを教えてください。

深蔵:小学生の頃まで遡るんですけど、当時『ドラゴンクエスト』の4コマ漫画があって、その影響で4コマ漫画を描き始めました。絵を描くのは好きでずっと漫画家になりたいとは思っていたのですが、一度は諦めて普通の企業に就職をしました。でも父が癌で早くに亡くなって、そのときに「自分もいつ死ぬかわからないしやりたいことをやろう」と思ったんです。そこで会社を辞めて独立し、再び漫画家やイラストレーターを目指して活動し始めました。

ーー最後に、今後の展望を教えてください。

深蔵:本作に関して言うと、現在はWebでの配信のみなので、紙媒体でも発表できるようになったら嬉しいです。ドラマ化できたらなというのも大きな目標ですね。また本作が完結した後も、派手ではなくても心の片隅に残るような、長く愛してもらえるような漫画を描いていきたいと思います。
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