「ゆる言語学ラジオ」水野太貴の著書『会話の0.2秒を言語学する』3万部突破 著者コメントや「まえがき」公開

 「ゆる言語学ラジオ」スピーカー・水野太貴の『会話の0.2秒を言語学する』が8月27日(水)に新潮社より発売された。

 YouTube登録者数38万人超の「ゆる言語学ラジオ」。『会話の0.2秒を言語学する』は刊行前からすでに1万3,000冊以上の予約が殺到し、発売前重版でも話題の書籍。3刷目の重版が決定し、3万部を突破した。著書『僕には鳥の言葉がわかる』が新潮ドキュメント賞受賞&12万部超の大ヒット、鈴木俊貴との刊行記念トークイベントの開催も決定。

 会話で相手と交替するまで平均0.2秒。この一瞬にどんな高度な駆け引きや奇跡が起きているのか――言語学の歴史を大づかみに振り返りつつ、「食べログ」レビューからお笑いに日銀総裁の会見、人気漫画まで俎上に載せ、日々の言語学をわかりやすく伝える、待望の書き下ろし。なぜうまく話せないのか。悩んでしまう人へ向けた本となっている。水野からコメントが届き、「まえがき」の一部と、今井むつみからの推薦コメントが公開された。

著者コメント

目標として掲げていた3万部を達成することができました!印税の一部は言語学徒へ奨学金として差し上げようと思っているのですが、枠を増やすべく、もっともっと売り伸ばしていきます!!

発売にあたってーー

1年半前に宣言した「30歳になるまでに、単著を出したい」という約束を果たせました。2年間社交を捨ててじっくりリサーチを進め、言語学を学んで自分がどう変わったか、世界がどう見えるようになったのか、等身大の言葉で書き綴りました。これまでの著作とまったく違う一冊になったので、ぜひ手に取ってみてください!本書にかける思いと、印税を使って行なう「言語学の大学院生への奨学金」については、「ゆる言語学ラジオ」で詳しく話しています。

まえがき

日々繰り広げられる、0・1秒単位の競争
 2009年8月、ドイツ・ベルリン。アメリカの陸上選手であるタイソン・ゲイは唇を嚙んだ。世界陸上の男子100メートル走決勝、彼が出したタイムは9・71秒。銀メダルだった。表彰台の横に立つのはジャマイカのウサイン・ボルト。今も破られぬ9・58秒という世界新記録を叩き出した男だ。その差はわずか130ミリ秒。
 この130ミリ秒――つまり0・13秒という数字をあなたはどう思うだろうか。きっと、極めて短い時間だと感じる人が多いだろう。
 しかし見方を変えると、あなたも毎日のように、1秒以下のわずかな時間で競争を繰り広げている。それが、会話だ。
 会話では、一人の話者が話し、それが終わると別の人が話し始める。話者が交替するまでの発話を「ターン」といい、話者の交替を「ターンテイキング」というが、イギリスの言語学者であるスティーヴン・C・レヴィンソンらの研究によると、ターンテイキングには平均して200ミリ秒――つまり0・2秒しかかからないという。タイソン・ゲイが涙を呑んだ130ミリ秒とさほど変わらない、極めて短い時間である。
 別の研究では、10の言語で「はい/いいえ」で答えられる質問文を与え、応答に要する時間を調べた。各言語の所要時間の中央値は0ミリ秒から300ミリ秒だったそうだ。やはり1秒どころか、500ミリ秒もかかっていない。僕たちは会話において、100ミリ秒単位の世界で高度な駆け引きを行なっているのである。

慶應義塾大学名誉教授・今井むつみ推薦コメント

研究者ではない言語オタク水野さんだからこそ見える言語の本質がここにある

■イベント情報
トークイベント『鳥の言葉がわかると言語学が面白くなる』
登壇者:鈴木俊貴、水野太貴
価格:①オンライン視聴チケット 1,650円(税込)
   ②会場参加チケット 2,000円(税込)←完売しました
   ③書籍付きオンライン視聴チケット 2,860円(税込)
日時:2025年9月6日(土)14:00~15:30
場所:ジュンク堂書店池袋本店 9階イベントスペース(東京都豊島区南池袋2-15-5)

■著者紹介:水野太貴(みずの・だいき)
1995年生まれ。愛知県出身。名古屋大学文学部卒。専攻は言語学。出版社で編集者として勤務するかたわら、YouTube、Podcastチャンネル「ゆる言語学ラジオ」で話し手を務める。同チャンネルのYouTube登録者数は36万人超。著書に『復刻版 言語オタクが友だちに700日間語り続けて引きずり込んだ言語沼』(バリューブックス・パブリッシング)、『きょう、ゴリラをうえたよ 愉快で深いこどものいいまちがい集』(KADOKAWA)がある。

■書誌情報
『会話の0.2秒を言語学する』
著者:水野太貴
価格:1760円(税込)
発売日:2025年8月27日
出版社:新潮社

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