【漫画】軟式テニスはお遊び? JKが懸命に打ち込む姿に心揺さぶられる『ソフトテニスのこころ』

 邪な思いがキッカケだったとしても、続けるうちに本気で好きになることは珍しくない。8月上旬にXに投稿された『ソフトテニスのこころ』は、本気になれるものがない女子高生が“自分の好き”を見つける青春漫画となっている。

 百合あり、スポ根ありと、いろいろな要素がミックスされた本作の作者・アキスさん(@akisu_K)に、試合シーンの作画のこだわりなどを聞いた。(望月悠木)

続きを読むには画像をクリック

『ソフトテニスのこころ』(アキス)

6年間のソフトテニス部での経験

――『ソフトテニスのこころ』制作の経緯を教えてください。

アキス:2014年5月ごろに『週刊少年マガジン』(講談社)で賞を獲った後、次に大きな賞に出す作品が完成し、締め切りまでまだ時間があったので「もう一作描けるな」と思って制作しました。

――スポ根要素と百合要素が合わさった内容でしたね。

アキス:当時自分が観ていた女子スポーツ作品は『バンブーブレード』(スクウェア・エニックス)ぐらいだったので、「もっとあってもいいかな?」と軽い気持ちで始めました。当時「企画が弱い」と口酸っぱく言われていたので、「キャラクター性をそのまま企画にできるのでは?」と、百合要素が前に出てきた感じです。

――ちなみに、なぜソフトテニス部を舞台にしたのですか?

アキス:中高と6年間ソフトテニスをやっていたので、「いつか描きたいな」と思っていました。

――ストーリーを組み立てるうえで意識したことは?

アキス:ソフトテニスを扱う以上、「なぜソフトテニスなのか」という理由を求められるので、ダブルス限定(当時)であったり、硬式テニスとの比較であったりをストーリーに組み込んでいくことで必然性を高めました。

嫌なやつを悪いやつとして描かない

――塩原もテニスを上達するために努力していた背景が描かれており、“ただの嫌なやつ”という印象が緩和されていました。なぜ塩原の背景も描いたのですか?

アキス:自分がスポーツものを描くときに気を付けているのは、「単純な悪役との勝負事にしない」ということです。嫌なやつに見えても「ただの悪役じゃないな」と思わせられる要素を少しでも入れられるように心がけています。

――テニスの試合シーンは迫力満点でしたが、作画で注意したことは?

アキス:スポーツ漫画の見せ場はやっぱり競技シーンだと思うので、そこは力を入れました。過剰なくらいで丁度いいぐらいになるので、バトル漫画で使われるようなエフェクトを使ったり、いろいろなカメラアングルで楽しんでもらえるようにしたりと工夫しています。

――実際のテニスの試合を描くうえで、何か参考資料はありましたか?

アキス:静の画は写真を参考にして、動の画はそこからより大袈裟に動きを強調して描いていました。過去に描いていた野球漫画の「投げる」「打つ」「走る」といった動作の描き方は、アクションシーンを描くうえで今も生きていると思います。

――ちなみに、深谷さんが注目してほしいカットは?

アキス:競技シーンもそうなんですが、こころのいろいろな表情を楽しんでいただければと思います。

――今後はどのように漫画制作を展開していく予定ですか?

アキス:8月29日発売の『週刊漫画TIMES』(芳文社)に、デビュー作の野球漫画『背番号のない君に』が掲載されました。ぜひ感想を聞かせてください! 前後編の読切となっていますので、翌週の9月5日発売の後編と併せてお楽しみください!

関連記事