【漫画】野次馬、投票数の不一致……選挙の開票作業で一番大変なのは? 『開票所の職員たちの話』
ーー参院選のまさに前日にXに投稿されています。反響などいかがでしょう?
酒井晩(以下、酒井):公務員の友人から「キャラが生きている」と言ってもらえたり、見てくれる人がいることが素直に嬉しかったです。
ーー普段、手掛けているホラー作品とは毛色の違う本作の着想について教えてください。
酒井:実は前職が登場キャラクターたちと同じく地方自治体の公務員だったんです。そのときに開票作業に従事したことが何度かあり、普段の仕事と違った開票作業の空気も含め、公務員の漫画をいつか描けたらいいなと前々から思っていました。
ーー本作を描く際に意識したことは?
酒井:開票作業は、夜中の3時くらいまで続くことが結構ザラにあるんです。初めて従事したとき、「こんなに大変なのに『投票率が低い』って言われるんだ……」と思いましたね。
Twitter(X)では投票を呼びかける運動が盛んですが、開票作業に従事する公務員からしても、「政治に参加する権利があるのだから、投票してほしい」という気持ちがありますし、フラットに「こんな仕事をしてますよ」ということが伝わるよう意識しました。
ーー数票の僅差で競り合ったケースも実際にありました?
酒井:実際には珍しいケースですね。ただ1票1票大事にチェックして仕事をしているので、投票に行っていただくのはもちろん、開票所の仕事の内容が少しでも伝わればいいなと思っていました。
ーー選挙の開票現場はチェックすることができるのですね。
酒井:開票所は該当区内の選挙人でしたらどなたでも観覧することができます。開票への野次は実際にあったことだったので印象的でしたね。ただ、開票所で騒ぐことは開票作業の妨げになることがあるので、止めてあげてください……。選挙の種類や開票区の規模によって、開票所の雰囲気も異なってくると思います。興味のある方は観覧に行ってみてください!
また私がいた自治体では、当日の投票事務と夜の開票事務に従事する職員は部署ごとに別れて配置されていたので、作中に出てくるキャラクターの部署もなんとなくそれに準えています。
ーー絵柄やキャラクターデザインについても聞きたいです。どのようなイメージで描いていますか。
酒井:二次元チックなキャラクターデザインがかなり苦手で、実在感のあるものばかりになっています。役所の中でもこういう人はこの部署にいるよね、という経験と想像でデザインしました。
ーー酒井さんは会社員をされながら漫画を描いているのでしょうか。普段はどのように制作時間を捻出していますか??
酒井:今はフリーで色んなことをやっています。漫画を描いたり、イラストレーターやデザイナーとしてお仕事をさせていただいたり。メインを漫画業にしたいので、今は漫画賞に応募する作品の準備をしています。
ーー今後の展望などがあったら教えてください。
酒井:描きたい話がたくさんあるので、今よりもっと面白く、そして画でも楽しませられるような作品を作っていきたいです。「仕事」や「人間同士の連帯」が自分の中でテーマになっているので、そのなかで共感を呼べる作品を作れたら。