【漫画】フルーツサンドは邪道? カナダでスイーツ作りに目覚めるエッセイ漫画が楽しい


ーーカナダでフルーツサンドを作る体験をしたなかで、印象に残った出来事はありましたか?

武村沙紀:作る最中の話ではないんですけど、作った後に「コレを本場のカナダ人の方にも食べてもらいたいな!」と思ったのをすごく覚えています。でも外国の方からすると、やっぱりパンに生クリームとフルーツというのがどうしても違和感があるみたいで。「だったらケーキを食べればいい」という感覚になるんだと思うんです。なので実際に食べてもらうには、少し趣向に寄せる工夫が必要だなと感じました。

ーー実際に現地の方にフルーツサンドは食べてもらいましたか?

武村沙紀:食べてもらいました。ただ、その方は日本の文化に相当理解があるカナダ人で、“異文化のなかで生きる方に”という感じではなかったんです。とはいえめちゃくちゃ美味しいとバクバク食べてくれて、すごく嬉しかったですね。

ーー体験を漫画にするうえで特に入れたかった場面は?

武村沙紀:味に満足してから、ビジュアルに気を配り始めるシーンは絶対描きたいなと思っていました。私は元々は映えとかはあまり気にしないタイプで、「それで味を疎かにするのはどうなんだ!?」と思っていました。でもフルーツサンド作りで、味を精一杯美味しくしたら次は盛り付けにいくのかと理解できたんです。そのプロセスを自分で踏めたのが嬉しかったですね。

ーー本作で武村さん自身が気に入っているポイントを教えてください。

武村沙紀:ビジュアルに気を配るところまで辿り着けたのがよかったという一方で、「美味けりゃいいんだよ!」という自分もいて、そういうワイルドな気持ちを“私の中の豪快な海の男・源さん”という形で擬人化できたのが気に入っています。感情なんかを擬人化できるのが、結構漫画を描く楽しさの1つかなと思っています。

ーー武村さんは現在もカナダに住んでいるんですよね?

武村沙紀:そうです。7年くらい住んでいて、今は永住権を取得できるよう頑張っています。

ーーカナダに住む魅力はどのようなところですか?

武村沙紀:とにかく人が温かいですね。あと、「私は私、他人は他人」という考え方の人が多い印象で、あまり人の目を気にしなくてもよい気楽な面も気に入っています。

 また子供を育てるのにもいい環境だと思います。私が住んでいるのが少し田舎というのもあるかもしれないですが、街全体が子育てに協力的なんです。子供と一緒にいたときに、知らないおじさんから「こんなに大きくなったのか!」と声をかけられたこともありました。“子供が第一”という考えが根付いているイメージです。

ーー反対に大変なことは?

武村沙紀:日本人がカナダで暮らす場合、仕事をしている人がルーズなのは苦労するかもしれません。例えば家の天井の修理を業者さんにお願いすると、「一週間後に行きます」となりますよね。それで来ないとかも全然あります。宅配で時間指定ができるとか言ったら、現地の方はものすごく驚くと思いますよ。ただ逆に仕事をする側になったときに、完璧なサービスを求められにくいというのもあるので、良くもあり大変でもありですね。

ーー最後に、今後はどのような漫画を描きたいですか?

武村沙紀:実は最近第二子が生まれたばかりで、だいぶ漫画の更新ペースがゆっくりになってしまいそうなんです。ただ第二子の出産時にも面白いエピソードがあったので、それを漫画にしたいなと思っています!

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