安田美沙子が語る、ウイスキーの“味覚”が言語化できると話題の書『世界一やさしいウイスキーの味覚図鑑』の魅力

 ウイスキーと聞くと、おじさんの飲み物だとか、歴史への理解や難しいうんちくが必要なイメージがあるかもしれない。また、近年はジャパニーズウイスキーが高騰して話題になっているためか、興味はあるけれども、初心者は手を出しにくいかも……と感じている人も多いのではないだろうか。

 そんな人におすすめしたい一冊が、『世界一やさしいウイスキーの味覚図鑑』(朝倉あさげ/著、omiso/イラスト/カンゼン刊)である。本書はこれまでの類書に多かった歴史やうんちくの要素を敢えて省き、“味覚”に特化してまとめられたこれまでにない一冊で、ストレート、ロック、ハイボールの3つの飲み方が詳しく紹介されている。

 これまで多くのウイスキーを嗜んだ著者が厳選した138本を掲載。柔らかい印象のイラストでボトルが描かれ、言語された味覚やチャート、味わい方を紹介する構成だが、嬉しいのは、高級ボトル一辺倒だけでなくいわゆる手に入れやすい価格帯のウイスキーが掲載されている点だ。買うときの参考資料にしても良さそうだし、ウイスキーに興味のあるビギナーも見ているだけで楽しく、愛好家ならばより深く楽しめる本になっている。

目次の細かさからして人気のウイスキーを網羅していることが伝わってくる内容

 今回、ウイスキーの愛好家として知られる安田美沙子さんに、ウイスキーの魅力、味わい方や本書の魅力について話を聞いた。

■ウイスキーの醍醐味って?

「ウイスキーは料理との相性がよいお酒です」と話す安田美沙子氏

――安田さんはウイスキーの愛好家として知られております。初めてウイスキーを飲んだ時の第一印象を教えてください。

安田:初めて飲んだのは学生の頃だと思います。当時はおいしさがわからなかったんです。ところが、番組のロケで、トワイスアップ(注:ウイスキーと同量の水をグラスに注いで飲むこと)を飲んだ時に「おいしい」と思って。香ばしいポップコーンみたいな風味、そして樽の香り……これがウイスキーのおいしさなんだ、と知りました。

――これを機に、ウイスキーが好きになったわけですね。

安田:そうですね。ちなみに、その番組はネギとウイスキーのペアリングがテーマで、ネギ風味のタレがかかった唐揚げなどを味わいました。組み合わせる食事によって、ウイスキーの味わいが全然違うのが面白かったんです。このロケが終わってすぐに、自分でもウイスキーをネットで購入して、「グレンモーレンジィ」を家でも飲むようになりました。

 それ以降、ウイスキーは定期的に買って楽しんでいます。やっぱり、食事に合わせるのがいいなと思います。私の場合、お店ではまず最初にビールを飲み、2杯目からはウイスキーなどの他のお酒を頼んでいて。揚げ物の時はハイボールがいいなとか、料理に合わせてウイスキーを選んでいますね。

安田:飲めるなら毎晩飲みたいくらいお酒が好きなんです(笑)、家では食事に合うウイスキーを置いています。ホームパーティーをするときは友達がウイスキーを持ってきてくれたりして。とてもありがたいことに、珍しいものを味わう機会も増えています。

■好みの味を見つけると視点が変わります

ウイスキーを味をマトリクスにした図。チャート的に味を理解していくと、自分に合ったものも見つけやすくなる。『世界一やさしい ウイスキーの味覚図鑑』販促物 『世界一やさしいウイスキーの味覚マトリクス』より

――世間一般的にはウイスキーは男性が飲むものというイメージがあります。安田さんは、どんな印象をお持ちでしょうか。

安田:ウイスキーの魅力は食事と一緒に楽しめるのが一番ですね。以前、ウイスキーのイベントで、フォアグラに合わせて一口飲んだときは、そのマリアージュに感動しました。

 女性同士でお酒を飲むときにも向いているなと思います。ストレートやロックで飲んだ時の味と、食事と合わせるときの味、それぞれの一口に魅力があるので女性の友達と語り合うのも楽しいです。ヘルシーなお酒なので、飲んだ後の“罪悪感”がないのも魅力。今日は酔いたいなあ……というときは、ストレートだとすぐに酔えるのもいいですよね(笑)。

――和食ともウイスキーは相性がいいですよね。

安田:そうですね。食事を引き立ててくれるお酒だと思います。さっぱりしたもの、淡白なもの、濃いもの……どんなものにでも合うウイスキーがありますし、お互いに魅力を引き立て合う感じがたまらないですよね。

――ところが、お酒が苦手な人、馴染みのない人にはウイスキーは「変な味がする」と感じるそうです。それがハードルが高いとされる要因だといいます。

安田:私も、最初はハイボールでさえも全然飲めなかったです。ただ、ウイスキーのなかには好みの味がきっとあると思うんですよ。一つ好みの味を見つけると、私のようにそこから視野が広がっていくと思います。なので、この『世界一やさしいウイスキーの味覚図鑑』を参考に、いろいろな種類にトライしてみるといいかもしれませんね。

■ママ友と語り合いながらウイスキーを味わう

「グレンモーレンジィ」が掲載されているのも『ウイスキーの味覚図鑑』の魅力のひとつと話す

――『世界一やさしいウイスキーの味覚図鑑』に掲載されているなかで、安田さんのおすすめはありますか。

安田:やっぱり「グレンモーレンジィ」です。グラスで水で割るだけでこんなに飲みやすいんだと、感動します。最初飲んだときに、名前からしてもオレンジが入っているのかなと思ったくらいです。柑橘系の香りがさわやかで、ガツンとした感じがなくて飲みやすいので、初心者にも女性にも飲んでほしいウイスキーです。


「グレンモーレンジィ」が掲載されているのも『ウイスキーの味覚図鑑』の魅力のひとつと話す

――美味しそうですね。ぜひ飲んでみたいです。

 あとウイスキーは、ジョッキではなくグラスで味わえるのも嬉しいです。上品に香りを楽しみながら、ゆっくりとお酒を飲むことができるきっかけになりました。私のなかのウイスキーの概念を変えてくれました。

――ウイスキーをこんなシチュエーションで飲んだら楽しいかも、といった安田さん流の楽しみ方があれば教えてください。

安田:ママ友が湘南の方に住んでいるのですが、久しぶりに遊びに行って、一緒にお泊りすることがありました。向こうの家にウイスキーを一本送りつけておいて、その日は飲み明かすことを決めました。CHAGE and ASKAの音楽を流し、結構酔いながら、夜通しいろいろと育児のことを愚痴ったり近況を共有したりしました。

 友人と本音トークをする場面にウイスキーがあると、仲も一層深まると思います。ウイスキーはアルコール度数が強いですが、私はあまり悪酔いしませんし、翌日に残らないのも嬉しいんです。翌日はそのママ友と、鎌倉の蕎麦を食べに行きました(笑)。

 例えばホームパーティーでウイスキーを何本か用意して、友人やお客さんと料理に合うものを楽しむのも素敵だと思います。

――ウイスキーに合わせて料理を作ることもありますか。

安田:美味しい食材や旬のものがあれば、料理に合わせてウイスキーを用意しておくことがあります。というのも、私が料理を始めたのはお酒が好きが高じて、おつまみとして合うものを作るのがきっかけなんです。そこから栄養の勉強を始めて、今では食育などの資格を取ってしまうほどに料理に夢中になってしまいました(笑)。

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