『ONE PIECE』尾田栄一郎、キャラの個性を魅力的に描く特徴的なテクニックといえば?

対称的に描かれたルフィと黒ひげ

 作中でハッキリと対称的に描かれている敵同士といえば、ルフィと“黒ひげ”マーシャル・D・ティーチが思い浮かぶ。2人が初めて出会ったのは、ジャヤ西部にあるモックタウンの酒場。ルフィがチェリーパイを「マズイ」と酷評する一方で、ティーチは顔をほころばせて「ウメェ」と大絶賛する。そしてドリンクについても真逆の反応を示し、たちまち喧嘩腰になるのだった。

 食の好みだけでなく、その野望についても正反対。ルフィといえば「この海で一番自由な奴が海賊王だ」という信条の持ち主で、なによりも自由を重んじる生き方だ。それに対してティーチは、自身が支配する「黒ひげ王国」の建国を目指している。

 また海賊王のクルーとして共に育ち、後に決別したライバル、シャンクスとバギーの関係性も興味深い。若き日の2人は、南極と北極のどちらが寒いのかという論争でそれぞれ持論を展開していた。ほかにも赤髪と青髪という髪色の違いや、高い実力がありながら侮られるシャンクス、実力がないのに口車だけで周囲を恐れさせるバギーと、さまざまな点が対称となっている。

  さらにワノ国編では、2組の親子が“対”として描かれていた。実の親子でありながら命のやりとりを行うカイドウとヤマト、偽の親子でありながら命を預ける錦えもんとモモの助という対比だ。現在突入している最終章では、どこまでキャラクターの描写が掘り下げられるのだろうか。

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