今いちばんモテるのは“強いおじさん”!? 『SAKAMOTO DAYS』『トワイライト・ウォリアーズ』で加熱するおじさん人気

香港映画『トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦』の名優たち

 そんな坂本のような意外性を味わえる映画が、劇場公開されてジワジワと注目を集めている。『トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦』という香港映画だ。余兒の小説と、司徒劍僑によるコミカライズ作品『九龍城寨』を実写化したもので、そこにはとてつもなく強い“おじさん”たちが何人も出てきて、坂本の実在を想像させる。

 筆頭が、ルイス・クー演じる龍捲風(ロン・ギュンフォン)だ。レイモンド・ラムが演じる陳洛軍(チャン・ロッグワン)が、青果市場を仕切る黒社会に追われ逃げ込んだ九龍城砦にある理髪店の店主として登場するが、実は九龍城砦をまとめる勢力のリーダーで、決して弱くない洛軍をあっさりと倒してしまう。

 ロマンスグレーの髪で眼鏡をかけてたばこを吹かすビジュアルだけでも十分にイケているが、その強さに触れ、洛軍をどこまでも守ろうとする意思の強さを知れば、なおのことファンになってしまうだろう。そんな龍が戦うことになる相手がまた凄い。サモ・ハン。ブルース・リーの『燃えよドラゴン』にも出演し、日本では『燃えよ!デブゴン』という映画で大人気となったベテラン俳優で、太っていながら強いというキャラで坂本の先駆的な存在だ。

 そのサモ・ハンが黒社会のボスとして登場し、70歳を越えても衰えないアクションを見せれば、ケニー・ウォンやアーロン・クォックといった60歳前後の役者たちも、すさまじいアクションを見せて観客を大興奮させる。サモ・ハンの配下で龍や洛軍ら九龍城砦の勢力を追い込む王九を演じるフィリップ・ンも、アラフィフとは思えないド迫力の戦いぶりを見せる。

 そうした“おじさん”や”おじいさん”に負けじと、40代や30代の若者たちが戦いを挑み、敗れても諦めないで再起を目指すドラマチックな展開に、惹きつけられるファンが続出。あまりの人気ぶりに前日譚と続編の製作も決まってしまった。『SAKAMOTO DAYS』でも現役時代の坂本の暴れっぷりや、シンたち若い世代の殺し屋の懸命な戦いぶりが描かれ、世代を超えての群像劇が描かれる。その意味でも、『SAKAMOTO DAYS』と重なる作品と言えそうだ。

ライトノベルにも「実は強いおじさん」の波が

 ライトノベルの新刊でも、元暗殺者が昔取った杵柄で密かに大活躍するという作品が登場。2月10日発売のケンノジ『最強暗殺者は田舎でひっそり神父になる ~大出世した教え子たちに慕われるおっさんが暗躍する話~』(DERノベルス)で、タイトルどおりに元暗殺者のおじさんが衰えない強さで魅力する。

 暗殺者稼業から身を退き田舎で神父として働きながら、孤児院を運営しているザックだったが、孤児院を出て王国騎士団の団長になった少女が心配だからと変装して王都に出かけ、騎士団の誰よりも強いところを見せて指南役に収まってしまう。村々を襲い子供をさらって奴隷にしていた集団を殲滅する活躍も見せる。そんなザックが、坂本と戦ったら果たしてどちらが勝つだろう? そんな興味も浮かんでくる作品だ。

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