菊池風磨の“演技”に注目? 文芸評論家が語る『#真相をお話しします』原作の魅力と映画の見どころ

 2022年6月に刊行され、同年で最も売れたミステリー小説となった『#真相をお話しします』(結城真一郎/新潮社)。4月25日公開の実写映画は、大森元貴(Mrs. GREEN APPLE)&菊池風磨(timelesz)のW主演で話題だが、1月8日には追加キャスト11名とティザー映像が公開され、その豪華な内容にも注目が集まっている。

『#真相をお話しします』ティザー映像【4月25日(金)公開】

 原作『#真相をお話しします』はどんな作品で、実写映画化に際して注目すべきポイントはどこにあるのか。作者の取材も行っている文芸評論家の円堂都司昭氏は、原作小説について「現代を生きている私たちの感覚に訴えてくるところが大きい、高水準のミステリー」だと評価する。

「『#真相をお話しします』は5つの物語からなる短編集で、そのなかの一編『#拡散希望』が日本推理作家協会賞(第74回)という、権威のある賞の短編部門を受賞しています。ミステリーの短編集というと、共通した探偵が事件を解決していったり、連作で通して読むと一つの謎が明らかになったり、というものが多いのですが、本作はそれぞれ別個の話。しかしトーンとしては共通した部分があり、<令和を生きる私たちのニュー・ノーマル>というキャッチフレーズに象徴されるように、コロナ禍以降の空気を汲み取りつつ、リモート飲み会や家庭教師の派遣サービス、パパ活のマッチングアプリに精子提供、YouTuberなど、それぞれ近年の事象を扱っている。家族関係や子どもが4人しかいない島など、比較的狭い人間関係を扱いながら、ネットを通じて不特定多数とつながるサービスを描いているのが特徴的で、その“ズレ”がミステリーに展開する面白さがあります」

 今回の実写映画化について、円堂氏は「公開されている情報が限定的な現時点では、期待半分、心配半分」としつつ、作品そのものだけでなく、今後のプロモーションにも注目したいと語る。

「あらすじや役柄の説明を見ると、5つのバラバラな物語の要素を組み込み、一つの映画にするようで、原作からかなりアレンジされるはずです。どのエピソードがどんな形で採用されるのか、脚本に注目したいところですが、それ以前に、どんでん返しのあるプロットや伏線回収が巧みな原作の性質からも、映画ならではの仕掛けがあるのではないでしょうか。公開までまだ時間がありますし、続報を楽しみにしたいですね」

 今回公開されたティザービジュアルではキャスト全員の目が映画のタイトルロゴで隠され、不穏な空気が漂っている。今後の情報解禁でも、確かに何らかの仕掛けがあるかもしれない。キャスティングについては映画初出演にして初主演を務める大森元貴にも注目が集まるが、円堂氏は菊池風磨本人のキャラクターと、ミステリー作品のマッチングに関心を寄せる。

関連記事