『べらぼう』の台詞「ちゃくちゃく」とは? 江戸文化研究家が唸った、細部へのこだわり

 「鱗形屋孫兵衛のくだりで、恋川春町の『金々先生栄花夢』という、いわば吉原のPR誌が出てきますが、吉原細見ですら放ったらかしだった鱗形屋があんな黄表紙(草双紙)を考えられるとは思えず、これも蔦重のアイデアでしょう。黄表紙は後の漫画文化にも通じるものがあり、蔦重をその源流のひとつと見ることもできそうです。日本のコンテンツが海外であらためて高く評価されているなかで、多くの人の関心を集める作品になっていくのではないでしょうか」(浮代氏)

 前作『光る君へ』に続き、“戦”を描かない大河ドラマとなった『べらぼう』。だからこそ、視聴者が共感して学びを得る作品になっていってほしいと、浮代氏は今後への期待を語る。

「明るい話題が少なく、自分さえよければいい、という考えになりがちな昨今ですが、がむしゃらに人のために生き、そのために求められる以上のアイデアを次々と実現していく蔦重の姿は痛快です。武術ではなく、知の力で上り詰めていく姿には、私たちが見習える部分が非常に大きいと思いますし、武将を描く大河より身近で応援したくなるドラマになっていくのでは。ネットではすでに評判ですし、蔦重関連の本も山ほど刊行されていますので、期待は大きいですね」(浮代氏)

 初となる“江戸庶民の大河”で、横浜流星が演じる稀代の出版プロデューサー・蔦屋重三郎は今後どんな姿を見せてくれるのか。天才・平賀源内(安田顕)が登場する第2話は、1月12日放送だ。

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