古代メソポタニア、最高神を祀る「ニッポー」があったーー『アマテラス解体新書』著者に聞く「日本」の起源

■日本人は一体どこから来たのか?

歴史の方程式がすごいと話題となっている『アマテラス解体新書』(内外出版社)と著者の岡本佳之氏

 日本人とユダヤ人の祖先が同じであるとする日ユ同祖論など、日本人のルーツを探る様々な説が、怪異やオカルト好きのみならずあらゆる層を引き付けている。日本人はいったいどこから来たのか――その謎に考古学・言語学の視点から迫り、解明を試みたのが『アマテラス解体新書』(内外出版社/刊)を著した岡本佳之氏である。

  岡本氏によると、聖書のなかで紙とされるヤハウェと、日本神話に登場するスサノオは同一の神なのだという。こうした日本神話の神々のルーツ、日本の国名の由来は、歴史好きのみならず日本人なら興味をもつテーマであろう。そして、日本神話を読み解いていくと、島国である日本は、世界と密接に結びついていたこともわかってくる。

  そんな『アマテラス解体新書』を著した岡本氏にインタビュー。岡本氏は、日本神話を知れば、日本史はもちろん世界史も楽しめると説く。知的好奇心を刺激する一冊がいかに生まれたのか、話を深掘りしてみた。

■神道のルーツを探る本が大ブーム

――神道関係、特にアマテラスについて記された本や、日本人のルーツを探る本がベストセラーになっています。

岡本:もちろん、僕もその流れに感化された1人です(笑)。ブームが起きたことで、外国と照らし合わせて日本人はこれからどう生きるべきなのか、日本人とはいったいどんな民族なのかと、考える機会が増えたと思います。

――日本人が多民族融合の歴史をもつという説が盛んに提唱されるようになったのは、いつ頃なのでしょうか。

岡本:シュメール人を日本人の起源とする説は、20世紀前半くらいにはありました。しかし、明治維新から第二次世界大戦の頃は、神道の物語のなかにある天皇を重視していたので、あまり顧みられることはなかったと思います。敗戦後にはGHQによって国家神道が取り除かれ、人々は日本が好きか、日本のアンチかみたいな感じに分かれてしまいました。その後、第三者の科学的な視点がもたらされ、比較的客観的に考えられるようになったのだと思います。あとは、日ユ同祖論の影響もあるでしょうね。

――日ユ同祖論を取り扱った本も増えました。

岡本:日本には神道があり、日本人は他国とは違うんだという若干の選民思想的な部分は、日本人にあると思います。朝鮮半島と日本の文化は似ていて当然なのですが、最近でも隣国の朝鮮半島と中国と日本は違うなどと言われますよね。そんな考えをもつ人でも、朝鮮半島を飛び越えてユダヤに繋げ、中東から文化が日本に伝わったという視点に切り替えると、納得できる歴史考察が可能になったようです。

■考古学的な記録がない日本の神話

――岡本さんが日本のルーツに興味を持たれたきっかけは。

岡本:中~高校の頃、日本人は海外から骨抜きにされているという陰謀論に触れたのがきっかけです。ただ、陰謀論に触れるなか、裏の組織からの情報なんて僕ら一般庶民にはどおう簡単に来ないはずだろと思いました。そして、謎に深く迫るためには外国に留学するしかないと考えたのです。

――イギリスの大学院に進学したのはそのためですか。

岡本:はい。日本を外国が植民地にしているのであれば、その人たちの勉学のフィールドでどれくらい議論できるのかと気になりました。

――それほど没頭していたのですね。

岡本:ただ、感化されながらも僕のなかでたくさんの疑いがあったのです。調べれば調べるほど、ネットでも本でも、掘り下げた話が出てこないためでした。例えば、フリーメーソンの起源や皇室の起源なんてまったく出てこないんですよ。そんな感じで都市伝説を調べていくうちに、日本人とはいったいなんぞや――という起源的な話に関心を持ったのです。

――そして、日本人のルーツを調べていくと、日本神話に行きつくのは自然な流れですよね。

岡本:都市伝説のように語られる日本神話の真実を語る人はたくさんいますが、客観的に見ても、考古学的な記録は本当にないとわかりました。日本神話にはアマテラスとスサノオがいて、岩戸神話の場所は高千穂にあるとされますが、そんな昔に日本を建国したのであれば証拠くらい出てくるはず。出てこないならギリシャ神話と変わりません。ただ、地に足をつけて神話を考察すれば、本当の日本人の起源が見えるのではないかとも思いました。

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