『るろうに剣心』緋村剣心はなぜモテる? ヒロインたちを魅了した“男気エピソード”を振り返る

 全世界でシリーズ累計発行部数7200万部を超えるヒットを記録している超和月伸宏による名作コミック『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』。本作の魅力はなんといっても、迫力の戦闘シーンと、史実を盛り込みつつもオリジナリティ溢れるキャラクターたちだ。特に、剣心と神谷薫をはじめとする仲間たちとの様々な人間ドラマは、大きな見どころとなっている。

 本稿では、本作主人公で、旅人や流れ者を示す流浪人でありながら、過去には雪代巴という妻を持ち、神谷薫や高荷恵からも慕われている剣心に注目。金もなく、逆刃刀と剣術の腕一本で渡り歩く剣心がなぜモテるのか、その魅力と彼を取り巻く女性キャラクターについて紹介したい。

戦闘外での天然感と、戦闘シーンでの圧倒的強さのギャップ

 幕末の時代に、伝説の人斬り·緋村抜刀斎としても恐れられた剣心のカッコよさを語る上で欠かせないのは圧倒的な強さだ。特に、戦闘シーンではどんな強敵も凌駕する圧倒的な速さと剣筋の鋭さを持ち、飛天御剣流の鮮やかな決め技でどんな相手でも倒してしまう。また、剣心は1対大勢や、時には銃器ありのかなり不利な戦闘でも絶対に怯まず、勝ち切っている点がすごい。例えば、薫と出会うきっかけとなる神谷道場への嫌がらせを撃退するエピソードで、剣心は彼女のために、“神谷活心流”を騙った辻斬りを撃退し、神谷道場の評判を下げ、その土地を手に入れようと目論む剣術道場を探り当て殴り込んでいる。まさに「道場破り」という言葉通りの襲撃を、1人でやり切ってしまうのだ。

 しかし、一歩戦闘から離れると、強さや正体を隠すためか、街中で女子供からの不意打ちにやられたり、「おろろ~」と目を回しながら簡単に警官に捕えられてしまったりもする。また、天然ぶりや温厚で穏やかな人柄が際立つ「おろ?」や「~でござるよ」などのゆるい口癖も連呼。現在放送中のTVアニメシリーズでは、公式Xが「#おろかぞえ」というハッシュタグをつけて毎回投稿し、「放送中に何回おろと言ったか数える」という試みを行なっている。剣客としての圧倒的強さやかっこよさと、戦闘外でのゆるく天然な言動のギャップ。これこそが剣心の魅力なのだ。

高荷恵をアヘン製造から足を洗わせ、自分を狙った巻町操のピンチを救う

 もう1つ、剣心の魅力で欠かせないのが、困っている女性を決して見過ごさない、幕末の剣客の割にレディファーストな点だ。彼の女性思いな一面は前述の神谷道場の件や、悪徳商人·武田観柳からアヘン製造を強要されていた高荷恵を救うエピソードからも見て取れる。アニメ版で彼の女性ファーストな一面が分かるのが、「京都動乱」編第27話「見捨てられた村」のエピソードだ。

 京都に向かう道すがら、剣心は巻町操と出会い、御庭番衆の仲間を探す旅の金稼ぎのために、盗みなどを行っていた操に逆刃刀を奪われる。結果、あっという間に取り返すが、剣心が御庭番衆のことを知っていると分かるや否や、旅に同行させてほしいと今度は操から追いかけられるはめに。彼女を巻くために当初は足場の悪い森林を駆けるが、結果V字谷を飛び越えようとし落下しかけた彼女を救出し、結果旅に同行させている。

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