『ブルーロック』雷市陣吾は強心臓のいぶし銀! セクシーフットボールの概念を塗り替えるフィールドの狂犬に迫る

 青い監獄と呼ばれる、世界一のストライカーを養成する特殊育成施設「ブルーロック」。実力者揃いの高校生FW300名が生き残りをかけて争う、史上最もイカれたサッカー漫画と話題のデスバトルサッカー漫画『ブルーロック』(原作:金城宗幸/漫画:ノ村優介)。

 主人公、潔世一(いさぎ・よいち)と共にチームZに配属され共にこのサバイバルを戦い抜くことになる、金髪と牙のようなギザギザの歯が印象的な選手が雷市陣吾(らいち・じんご)だ。

闘志溢れるプレースタイル

 見た目の印象そのままに、常に臆することなく自身の想いをストレートに表現する雷市。厳しい言葉をチームメイトに浴びせる豪放な性格で、誰に対しても臆することのない怖いもの知らずの強心臓を持つ選手だ。

 雷市自身は自身の長所を華麗なシュートテクニックと豪語しており、セクシーフットボールの体現者と自己評価しているが、残念ながら作中で雷市が華麗なシュートをセクシーに決めていた記憶はない。

 それよりも彼の特筆すべき点は無尽蔵のスタミナと体幹の強さ、海外選手との対戦でもフィジカル負けしない身体の強さ、そして何よりも折れないメンタルだ。苦しい立場に立たされても勝利の意志を捨てずにチームを気持ちで引っ張るタイプの選手なのである。

 作中では物語が進むにつれて、中盤の底である守備的MFの位置を任されることとなる。1対1でのボールの取り合い、球際の攻防である「デュエル」の強さが評価され、チームの心臓であるアンカーポジションこそ雷市が最も特性を発揮できるポジションであると上層部から認められる。

 元々は世界1のストライカーを目指す為に集まった生粋のFW登録の選手達が、青い監獄で揉まれていく中で新たなポジション適正に目覚めていくシーンも注目だ。

攻撃の芽を摘み取るプレーは往年のあの名選手を彷彿とさせる?

 溢れる闘志と、デュエルの強さ、そしてボール奪取力。試合終盤になっても衰えない運動量を持ち、鬼気迫るプレーで対戦相手を震え上がらせるその圧倒的な存在感は、かつてACミランの黄金期を支えた元イタリア代表、ジェンナーロ・ガットゥーゾと重なると感じた読者も少なくないことだろう。

 ガットゥーゾもまた、当時世界最高峰と言われた常勝軍団ACミランにおいて、カカー、ピルロ、リバウドといったテクニカルな選手がレギュラーに名を連ねる中で、中盤の汗かき役として相手チームの攻撃を遮断する役割を担っていた。ここも雷市と重なる部分だ。

 感情を前面に出すプレースタイルが故に対戦相手と衝突することも多く、口論するような場面もピッチ上でよく見る光景だ。サッカーは闘いだということを改めて教えてくれる存在として、多くのサッカーファンの記憶に残るガットゥーゾのように、雷市が世界のサッカーシーンに旋風を巻き起こしてくれることを期待したい。

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