『寄生獣』だけじゃない! 超常ミステリーから本格歴史漫画まで、今こそ読みたい岩明均の名作漫画

おもしろすぎて読者をやきもきさせる未完の歴史漫画

 現時点ではまだ未完だが、今年6月に5年ぶりの新刊が発売された『ヒストリエ』も名作と言われている。アレキサンダー大王の書記官となるエウメネスの波乱に満ちた生涯に焦点をあてており、『レイリ』と同様歴史に残っている事実をなぞりつつも史実上では謎に満ちた人物であるエウメネスを魅力的に描いた作品だ。

 史実を下敷きにした緻密なストーリーとフィクションの絶妙な融合が高い評価を得ており、本作でも岩明均らしい伏線回収は随所に見られる。特にエウメネスと元使用人カロンが再会するエピソードは、読者の心を大きく震わせた。ネット上でも「新刊が出る度にやっぱりおもしろいなと思わせてくれる」「最後まで描ききってほしい」など絶賛と完結を望む声が多い。

 岩明均作品には他にも吃音に悩む女子高生・風子がウェイトレスとして働く喫茶店を舞台にした人情劇『風子のいる店』や、『ヒストリエ』と同じく古代ヨーロッパを時代背景とした『ヘウレーカ』などがある。岩明均作品に共通する特徴としては、巧みな構成力や強いメッセージ性と、それを印象付ける鬼気迫る描写だろう。『ヒストリエ』についてはまだ未完であるが、岩明均作品はコンパクトな巻数のものが多いので取っ付きやすいはず。ぜひ岩明均の世界に浸ってみてほしい。

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