『テニスの王子様』許斐剛「まだまだだね」 作画のデジタル化でアナログ時代より作業量が増えた理由を明かす
『テニスの王子様』シリーズの原作者·許斐剛氏が9月1日、自身のXで作画風景を収めた動画を公開。デジタル描画ツールを活用し、キャラクターやセリフを描き込んでいくもので、ファンは貴重な動画に感激しているが、デジタル化により作画に費やす時間が「アナログ時代の1.5倍」になったという漫画家の状況を伝える内容だ。
許斐氏はサービス精神に溢れた作家で、Xでの発信も積極的に行なっている。2023年8月には、結婚式を控えて「大好きな跡部様にもご参列して戴きたかったのですが、大切な試合中ですので怪我だけはしないようにと遠くから応援しています!」とつぶやいたファンに対して、許斐氏は「あ~ん? 参列するぜ」という“らしい”セリフを添えて、人気キャラクター・跡部景吾が正装した姿のイラストをポスト。粋な“神対応”に多くの反響があった。
そんななかでポストされた今回の作画風景動画。「デジタル化」と聞けば、絵の複製や修正、拡大縮小まで作業が楽になるというイメージがあるが、許斐氏は「ものすごく拡大出来ちゃうから、小さいモブまで拡大してしっかり描く為、作画に費やす時間はアナログ時代の1.5倍掛かっています」と明かす。デジタルツールを活用して「(いい意味で)手を抜く」どころか、さらに細かなこだわりが反映できるようになり、かえって作業量が増えてしまっているということだ。
作画に対する妥協を許さない姿勢が生んでいるジレンマだが、許斐氏は「まだまだだね」と、『テニスの王子様』の主人公・越前リョーマの決め台詞で締めくくり、最後までファンサービスを忘れない。人柄のよさが伝わるとともに、漫画家の激務が話題になることも少なくない昨今、考えさせられるポストでもあった。