『ブルーロック』ストライカーからGKに華麗なる転身!? 驚異の身体能力を持つ野生児・我牙丸吟を分析

自由過ぎるスタイルはコロンビアのレジェンドGKと瓜二つ?

 そんな我牙丸吟のプレーを眺めていると、ある選手の姿が思い浮かぶ。かつてコロンビア代表として一世を風靡し、エル・ロコ(狂人)の異名を取った男レネ・イギータだ。90年代のサッカーシーンに詳しい読者からすれば首がもげるほどに頷いていることだろう。GKというポジションでありながらキャリア通算で41ゴールをマークした規格外のプレーヤーである。

 元々はFWだったという我牙丸との共通点を持つイギータのプレースタイルは正に破天荒。GKとして相手の攻撃をストップしたかと思えば、そのままドリブルで突き進んでいくのだ。自陣ゴールを完全に不在にしたまま相手ゴールに向かって突撃する姿には、対戦相手だけでなく味方DFの緊張感も一気に高まったことだろう。

 さらに語り草となっているのは1995年のイングランド代表との親善試合で見せた「スコーピオンキック」と呼ばれる、前方に飛び上がりながらサソリのように足をしならせカカトでクリアーする大技である。

 ただただセーフティにキャッチすれば良いだけのボールをあえてのスコーピオンキックでクリアーしようとするイギータのスタイルは、より堅実なプレーが求められるGKというポジションにおいて正直賛否両論あるだろう。ただ、少なくない数の観客が彼のプレーに驚き、ワクワクしたこともまた事実だ。世間の声もなんのその。マイペースに己が道を突き進む姿は我牙丸吟のそれと同様だ。 

 スポーツは極上のエンターテインメントでもあるということを思い出させてくれる、そんな我牙丸の今後のさらなる進化に期待したい。

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