『シティーハンター』漫画版はどんな結末だった? 続編『エンジェルハート』との関連も検証

  北条司原作の漫画『シティーハンター』。1985年から91年まで『週刊少年ジャンプ』に連載された漫画だが、鈴木亮平によるNetflix版の実写化やアニメ専門チャンネルの再放送などの影響もあってか、現在でも高い人気がある作品だ。

  2023年には最新映画『シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』が公開。この映画では、アニメ版では触れられることがなかった巨大麻薬組織『ユニオン・テオーペ』が登場。詳細は映画を見てもらいたいが、「続編があるのではないか」と期待させる内容だった。

■『シティーハンター』と続編『エンジェルハート』の関連は?

  本稿では『シティーハンター』と続編『エンジェルハート』の関連性や自作映画に採用される可能性の高いエピソードを検証したい。まずは漫画版の『シティーハンター』がどのような結末を迎えたのか、見てみたい。

  連載終盤、冴羽獠の宿敵ユニオン・テオーペの総帥でかつては親子同然の関係だった海原神と決着戦が行われる。激闘の末冴羽獠が勝利し、海原は息子同然の冴羽獠に命を取られることを喜びつつ、息を引き取った。そして最終回直前では、ある理由で冴羽獠を逆恨みするラトアニアのクロイツ将軍の手下により、海坊主と結婚式を挙げていた美樹が狙撃されるという事態が発生。さらに槇村香も拉致される。これは、クロイツ将軍による冴羽獠へのゆさぶりであった。

  事態を受けた海坊主と冴羽獠が香の救出に向かうことになる。激しい戦闘の末、香を銃殺の危機から捨て身の攻撃で救い出した冴羽獠。2人は抱き合って、助かったことを喜びあい、そのまま結婚するのかと思われた。

  ところが最終話では結婚するような描写はなく、回復した美樹は海坊主と喫茶キャッツアイを、香と冴羽獠もスイーパー稼業に戻る。冴羽獠の相変わらずな「女好き」ぶりに香がハンマーで叩くなど、「日常を取り戻した」ところで漫画は終了した。

  冴羽獠と香の「恋の顛末」が描かれたのが、当初シティーハンターの続編という触れ込みで連載が開始された『エンジェルハート』だ。冴羽獠との結婚が決まった槇村香が、横断歩道を渡っていた子供に向かう暴走車から守ろうとして事故死するという、悲しい結末だった。

  そして香の心臓が何者かによって奪われ、瀕死状態だったコードネーム「グラスハート」の異名を持つ女スナイパー・シェインに移植される。ここから、香を失った冴羽獠と香の心臓を持つシェインの物語がスタート。シェインは冴羽獠の娘となった。

  エンジェルハートは『週刊少年ジャンプ』から『『週刊コミックバンチ』に舞台を移す形で連載が開始された。『シティーハンター』のパラレルワールドであり、続編ではないとされる。

  この件については「読者から香の死に抗議が殺到してパラレルワールドになった」という説があるが、「最初からパラレルワールドとして始まった」という声もあり、真偽は不明だ。
『シティーハンター』の最後と『エンジェルハート』での冴羽獠と香の結末。これを踏まえたうえで、次回映画に採用される可能性の高いエピソードを検証したい。

  アニメシリーズではユニオン・テオーペの総帥・海原神との決着戦が描かれていない。冴羽獠にとって相棒の槇村秀幸を殺された事実は大きく、妹である(血の繋がりなし)の香の宿敵、そして自身の父親代わりだった海原との決戦なくして、この作品は終わることができないと言っても過言ではない。前作で「ユニオン・テオーペ」が登場したことを考えると、次作のアニメ版映画『シティーハンター』があるとすれば、海原との最終決戦にスポットが当てられる可能性は高い。

  最終回直前のクロイツ将軍とのエピソードが描かれる可能性はどうだろうか。海原との最終決戦後にこのエピソードが追加されるとなると、焦点がボケてしまう。やはり、海原との決戦が有力か。しかし海原との対決は「決着がついた」ことにして、クロイツ将軍とのやり取りをメインにファンが待ち望む「冴羽獠と槇村香の結婚」のエピソードが新たに描かれる可能性もあるかもしれない。

  ここでネックになりそうなのが『エンジェルハート』での「香の死」。この作品はパラレルワールドであり、『シティーハンター』とは全く別の世界。「エンジェルハートで死んでいる以上、結婚は描けないのでは?」という意見もあるが、「なかったこと」にしても問題はなさそうだ。

  いずれにしても次回作が楽しみな『シティーハンター』。おなじみの声で「俺を読んだのは君だ」と言うセリフが聞こえてくることは、あるのだろうか。

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