【漫画】映画館の迷惑客は許さない……! 憧れの先輩が躍動するSNS漫画『シネモンハンターゆりこ』が面白い

ーー本作は大きな反響を呼んでいるかと思います。印象に残っている読者の方からのコメントは?

福井セイ(以下、福井セイ):読者のみなさんも迷惑なお客さんに会った経験が多かったらしく「この漫画を読んでスカッとした」「自分はこんなシネモンに出会った」といったコメントが多かったことが印象的でした。

 自分が本作を描いたのも、自分自身が迷惑なお客さんを目にしたときにモヤモヤして、そのときの感情を昇華できればと思ったからでした。みなさんのコメントを見て、やっぱりみんなも色々あるのだと思いましたね。

ーー創作のきっかけを教えてください。

福井:自分は日常にある引っ掛かりや「これ、みんなも思っているんじゃないかな」ということを漫画にしたいと思いながら生活していて。映画館でのモヤモヤを漫画にできたら自分の怒りも治まるし、みんなもスッキリできるかと思い本作を創作しました。

 また勢いのある線の多いアクションシーンを描くことが好きで、本作のテーマならアクション要素を盛り込めると思ったという背景もあります。

ーー本作は連載を見据え創作した作品だと伺いました。

福井:一例ですがゆりこ先輩の相方・佐々木くんがシネモンハンターを目指す展開を想定していました。彼はゆりこ先輩の仕事を目撃できていることから、非常に才能のある人物です。シネモンハンターは仕事の一部始終をお客さんに見られないように振る舞うことが鉄則なので。

 シネモンハンターの仕事を観測できた才能を買われ、彼もその道を目指していきます。最初はお手伝い役として奮闘しつつ、ハンター試験編の開幕、ハンター協会や「○番隊隊長」といったキャラクターとの邂逅……といった展開を想定していましたね。

 元はシネモンハンターとして活躍していたものの、シネモンサイドに闇落ちしてしまったキャラクターとの闘いも考えていました。その人物はハンターを務めていただけに、ハンターサイドの知見があるためとても強いです。

 ゆりこ先輩のようにシネモンへの憎しみから戦うキャラもいれば、ビジネスとしてハンターを務めるキャラもいて。ハンターそれぞれの抱く思想の対立を描く案もありました。

ーー敵対勢力を「シネモン」とカテゴライズした意図は?

福井:『BLEACH』の「虚(ホロウ)」や『僕のヒーローアカデミア』の「敵(ヴィラン)」など、バトル漫画では敵のことを固有の名称で呼ぶことが多いため、本作でもシネモンとひとくくりにしました。

 あとシネモンと名付けた方が話題にしやすいと思いました。本作を読んだ後に映画館へ行き、迷惑なお客さんに会った際に「あ、シネモンだ」と言ってもらえたらいいなと考えていましたね。

ーー「シネモンに出会えた」と捉えれば、迷惑な人と出会ってもポジティブになれそうです。

福井:迷惑なお客さんはいなくなってほしいですが、実際に迷惑行為をゼロにすることはむずかしいことだと思います。自分の漫画を読んでくれたことで、ネガティブな心情がクスっと笑える気持ちになればうれしいです。

ーー漫画を描き始めたきっかけは?

福井:小学生の頃から絵を描くことが好きで、弟に描いた絵や漫画を見せていました。絵を描くことを仕事にしたいと思い、高校生のときに出版社へ漫画を投稿し、そこから今に至ります。

ーー漫画家として創作し続けることの魅力とは

福井:素敵なお話ではないかもしれませんが、家に居ながら仕事ができることですかね。通勤がないことや、自室のデスクで音楽を聴きながら作業できることなど、締め切りさえ守ることができれば、自由に仕事を進めることができる点は魅力だと思います。

 あと自分の仕事が作品や単行本など、形として残ることもいいなと思いますね。自分のやったことがほぼ100%、目に見える形として残る仕事は非常に少ないと思います。制作した作品が掲載された瞬間や感想をいただいたときも嬉しいですし、過去の単行本を見返すなかでも嬉しさを感じます。

ーー今後の目標を教えてください。

福井:現在、商業連載に向けて制作している漫画が上手くいけばいいなと思います。単行本が10巻、20巻と刊行され、アニメ化・映画化される体験を1度はしてみたいです。

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