少年漫画のラスボス戦は盛り下がる説を覆す? 『ジョジョの奇妙な冒険』“最高潮の盛り上がり”を検証

  少年漫画において、主人公とラスボスが雌雄を決するラストバトルはとても重要な位置を占めており、作品の評価に大きく関わってくる。しかしラスボスとの戦いを上手く描き切るのは、そう簡単なことではなく、ネット上では「少年漫画のラスボス戦は盛り下がりがち」という説すら唱えられているようだ。

  そんななか、逆にラストバトルの描き方があまりにも上手かったことで、レジェンドの座を確立している作品もある。『週刊少年ジャンプ』から生まれた名作、『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズだ。

  同シリーズは現在、第9部にあたる『The JOJOLands』(ザ・ジョジョランズ)が『ウルトラジャンプ』にて連載中。すなわちこれまでには第1部~第8部まで、計8回のエンディングが描かれてきたのだが、毎回必ずラストバトルで最高潮の盛り上がりを見せるように構成されている。

 たとえば、空条承太郎と祖父のジョセフ・ジョースター一行がエジプトを旅していく第3部「スターダストクルセイダース」は象徴的だろう。ストーリー全体が「吸血鬼・DIOを倒す」という目的のもとに構成されており、道中で主人公が倒す敵たちは、ほとんどがDIOの部下だ。そして読者の予想を裏切ることなく、最後にはしっかりDIOとの死闘が待ち受けているのだった。

 さらにDIOとの最終決戦が、作中で描かれてきた旅の“総決算”となっているところも上手い。まず花京院典明が、人生で初めてできた仲間のために命を燃やし、DIOの秘密をジョセフへと伝える。そしてジョセフから承太郎へとバトンが渡され、勝利への道筋が切り拓かれる……。旅のなかで培ってきた仲間たちの絆で困難を乗り越える、という熱い展開だ。

 そうしたストーリー構成の美しさだけでなく、DIOが時を止める「世界」(ザ・ワールド)のスタンド能力者で、ほぼ無敵の戦闘力を持っていたこともラスボス戦にふさわしかった。最強の敵を倒すため、主人公(承太郎)が隠れた力に目覚めるというオチは、少年漫画における王道中の王道だろう。

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