【漫画】童話「かさじぞう」に意外すぎる展開 ショートギャグ漫画『春になったら』が斬新で笑える

即興のコントを展開させていくような感覚

――これまで多くのショートギャグ漫画を制作されていますが、普段はどのようなルーティンで制作しているのですか?

ヒロ:基本的には漫画制作するうえで、いつも何かを計画しているということはありません。朝の3時に起きて、半分寝ぼけた状態で机に座り、ノートを開き、鉛筆を削ったら、もう右手に任せて制作します。

――右手に任せる! カッコいいですね。

ヒロ:1コマ目で変な世界観を描いてしまったら「うわ~そう来たか~」と困りながら物語を描き進めていきます。ノートの上にノンストップで即興のコントを展開させていくような感覚です。手を止めたら頭で考えてしまうため、何かしらの考えが頭の中に入り込む隙を与えないよう、鉛筆を常に動かし続けておくことを意識しています。また、頭の中が半分寝ていることも重要な気がします。

――素面ではなく少々寝ぼけているくらいがちょうど良いと。

ヒロ:はい。そして、別の日に改めて読んでみて、辻褄を合わせたり荒くとがった部分を整えたりなどしてようやく作品に落とし込む、という流れです。その日に作ったものをその日のうちに作品にすることはありません。

“生む日”と“描く日”

――『春になったら』以外にもショートギャグ漫画をハイペースでアップしていますが、「1週間に2本は作成してSNSにアップする」といった目標を設定して制作しているのですか?

ヒロ:更新頻度の目標などは特にありません。もう44歳なので、生きている間に頭の中のアイデアを全部出し切りたいと考えています。ですので、生まれたかもしれない物語を自分の中で眠らせたまま生涯を終えることは寂しいため、タイミングやペース配分に関係なく制作・投稿を日々行っています。

――漫画を多く描くためにはアイデアを常に出し続けなければいけません。アイデアはどのように出しているのですか?

ヒロ:なんとなくですが“生む日”と“描く日”があります。“描く日”ではどれだけアイデアを出そうと思っても無駄ですし、“生む日”ではいつも以上に絵がへたっぴになります。それがわかってきたため、「今日は描く日なんだな」と割り切ることができ、頭をかきむしることはなくなります。また、“生む日”はアイデアが10本くらい生まれることもしばしば。慌てずに焦らず向き合い、出なくなれば止めるだけです。

――ちなみに生まれたアイデアをボツにすることもあると思いますが、ボツにする基準はあるのですか?

ヒロ:基本的には半年前に下書きしたモノを漫画にする方法をとっています。“半年後の自分”を編集者においている感じです。半年も経つともう自分でも覚えてないので、誰かの作品を読むように新鮮に冷静に読むことができます。その中からちゃんとおもしろかったモノを採用する感じです。とはいえ、作品にした途端にあまり面白くなくなるケースも珍しくなく、その理由は自分でもわかりません。

「これ、来たんじゃね?」

――右手に任せた結果、『春になったら』という楽しい作品が生まれました。中でも、おじいさんの「これ、来たんじゃね?」というセリフが最高でした。

ヒロ:僕も笑いながら描きました。お年寄りとか昔話のおじいちゃんおばあちゃんとかに対して、「優しい」「おっとりしている」という共通認識があります。ですので、セリフや行動を逆に振るとより面白くなると思っています。「これ、来たんじゃね?」というセリフもそういった考えから生まれました。

――また、“なんらかのスタッフ”という表現も面白かったです。“なんらかのスタッフ”以外にも候補に挙がっていた言葉はありましたか?

ヒロ:他の候補は特にありませんでした。基本的には“なんらかのスタッフ”という言葉は、ワード的にもリズム的にも好きだったので採用しました。恐らく私も玄関口に、そういった服装の知らない人が立っていたら、「なんらかのスタッフが来てる……」と口にすると思います。

――最後に今後はどのように漫画制作を行っていきたいですか?

ヒロ:漫画や創作に携わる時間をもっともっと増やしたいです。それだらけになったら最高です。

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