『デデデデ』映画公開に向けてチェックしたい、心の準備が必要な「浅野いにおワールド」

鬱漫画とも呼ばれる『おやすみプンプン』

 最後に満を持して紹介するのは『おやすみプンプン』。ファンの間では「鬱漫画」と呼ばれているこの作品は、浅野いにおワールドを語る上で欠かすことができない。まず、普通の日本を舞台に普通の人たちに囲まれているのに、主人公プンプンとその家族は鳥の落書きのような見た目である。違和感が半端ないが、実はその見た目には読者の主観を主人公に投影しやすいという面があるようだ。

 プンプンの小学生から大人までを描いた本作は、プンプンが一目惚れをした同級生「愛子ちゃん」との関係を中心に紡がれている。愛子ちゃんの複雑な家庭環境やそれゆえの思考や信仰がプンプンに様々な影響を与えていく。

 鬱々としたストーリーなのだが、登場人物たちの考え方、生き方に考えさせられることが多く、読み始めると止まらないのだ。読了後は疲れてしまうほどの「鬱漫画」ではあるが、これぞ浅野いにおワールドとも言えるだろう。

 最初に挙げた『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』は、『おやすみプンプン』とは全く作風の違う「SF作品」。こちらも浅野いにおらしさは健在だ。今回紹介した4作品を読了した後には、ぜひこちらも読んでみてはいかがだろうか。

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