『翔んで埼玉』『超普通県チバ伝説』……“東京周辺”のご当地漫画、なぜ人気?

■埼玉、千葉だけじゃない! 東京周辺のご当地漫画 

  なお、『翔んで埼玉』の作中では、茨城県が埼玉県以上の未開の地として扱われているのだが、茨城県といえば嶽本野ばらの小説『下妻物語 ヤンキーちゃんとロリータちゃん』がヒットしている。中島哲也が監督を務めた映画版では下妻や茨城のローカルネタが随所に盛り込まれており、これもある意味、ご当地ものの作品と言っていいかもしれない。

  都道府県の魅力度ランキングは県知事をも巻き込んで議論になるなど、日本人は郷土愛が強い。高校野球への熱狂ぶりや、箱根駅伝に地元出身の選手がいるだけで応援してしまう事例を見てもわかるだろう。そのため、こうしたご当地ネタは、あるあるネタとして関心を集めやすいようだ。

  近年は地方に事務所をおくアニメスタジオも増加しており、リモートワークの広がりから漫画家の地方移住も進んでいる。こうした背景から、より地域に密着した漫画やアニメが今後も制作されていく可能性は高そうである。そして、人々の郷土愛を刺激するご当地ものが、一つのジャンルとして愛されていくことは間違いないだろう。

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