声優・平野綾、結婚へ 2000年代のアニメ・アイドル文化に大きな影響を与えた功績を振り返る

  声優、歌手として活躍している平野綾が俳優の谷口賢志と結婚したと、1月3日、公式Xで報告した。平野は声優として『涼宮ハルヒの憂鬱』(以下、涼宮ハルヒ)の涼宮ハルヒ役や、『らき☆すた』の泉こなた役などで知られ、他にも歌手、女優など様々な方面で活躍してきた。

 『涼宮ハルヒ』と『らき☆すた』は京都アニメーションの代表作であるとともに、2000年代を代表するアニメと言って差し支えなく、両作で主演を務めた平野は2000年以降のアニメ文化に巨大な影響を与えた最重要な声優の一人といえる。多彩な声の魅力と表現力の高さはもちろんだが、圧倒的な歌唱力でも当時のオタクたちを驚かせた。

  なかでも『涼宮ハルヒ』は記録的なヒットとなった傑作である。ライトノベル発のアニメの存在感を高めたといえるし、深夜アニメを一般の視聴者が見るきっかけを作った作品ともいわれる。平野が演じるハルヒに多くの人が魅了され、「このアニメをきっかけにオタクになった」人は極めて多いとされる。

  また、エンディング曲『ハレ晴レユカイ』は、ハルヒたちが歌って踊るダンスが大きな話題となった。そして、平野らハルヒで主演を務めた声優たちが、コンサートで曲に合わせてダンスを披露した。声優がアニメのキャラクターの動きとシンクロした演技をする最初期の事例であり、のちの『ラブライブ!』などのアイドルアニメにも影響を与えたといわれる。

  そして、『涼宮ハルヒ』の「ライブアライブ」という回で披露された楽曲「God knows...」は、2000年以降のアニメソングを代表する名曲と言っていいし、平野の高い歌唱力は今聴いても圧倒される。アニメそのものも京アニの神作画を象徴する存在であり、これ以降、アニメのライブシーン、特に楽器の演奏シーンを重視するアニメスタジオが増加したといわれている。

 『らき☆すた』のこなたは、ハルヒとは異なるまったりのほほんとした声で、平野の表現力の多彩さを感じるには最適なキャラである。このアニメは、「聖地巡礼」の文化を広く世に知らしめた記念碑的な作品であり、モデルになった埼玉県久喜市鷲宮の鷲宮神社にはアニメファンが押し寄せ、キャラを描いた絵馬を奉納するなど社会現象となった。

  このように、平野が演じた二大キャラクターは、2000年代のアニメの歴史に燦然と輝く存在である。そして、ハルヒもこなたも印象に残っている人が多いのは、ひとえに平野の類稀な表現力のおかげではないだろうか。

  平野は一時期、舞台の仕事に専念するため、アニメから離れたこともあったが、近年は涼宮ハルヒ関連の歌を披露する機会も増え、往年のファンを喜ばせている。2024年1月20日には、川口リリアホールにて「涼宮ハルヒの弦奏 Revival」が開催され、平野もゲスト出演が決まっている。今後のさらなる活躍に期待したい。

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