大人気コスプレイヤー・さくらに聞く、“女装男子”になった理由「異性への変身願望は誰にでもある」
――「池袋ハロウィンコスプレフェス(池ハロ)」など、コスプレイベントはたくさんあります。大変な環境であるにもかかわらず、コミケでコスプレをする醍醐味はどこにあるのでしょうか。
さくら:イベント自体の知名度が高く、参加者が多いのが一番の理由ですね。コスプレをやる以上はたくさんの人に見ていただきたいので、コミケの会場は気持ちがいいんですよ。オタク界隈に足を踏み入れた人なら大体わかるイベントというブランド力も、コミケにはあるのかなと。また、参加する知り合いも多いので、挨拶をしたり、終了後にオフ会をすることもできます。
――コミケならではの特性は想像以上に多いんですね。
さくら:最近はメディアも多く取材に来ていますし、コスプレイヤーの注目度が高いんですよ。だから、メディアに出たいという理由で参加している人も多いようです。最近は芸能人の方も参加されていますからね。
――ほかにコミケならではの興味深い点は、何かありますか。
さくら:コスプレイヤーのために男子更衣室と女子更衣室がありますが、男子更衣室から女の子(のキャラのコスプレ)が出てきて、女子更衣室からはイケメン(のキャラのコスプレ)が出てくる光景が見られることでしょうか。この独特のカオスな感じも、コミケの魅力です。そして、異性への変身願望は誰にもあるんだなあと思って見ています。
■コスプレの醍醐味は“違う自分になれること”
――さくらさんが思うコスプレの魅力は、どんなところにあるのでしょうか。
さくら:女装が特にそうなのですが、違う自分になれること。そして、自分の推しキャラになれることでしょうか。僕が最初にコスプレをしたのは『美少女戦士セーラームーン』のセーラーマーキュリーでした。それから、女装の会員制のSNSで知り合った人に、コスカラ(コスプレカラオケ)に連れ出してもらったのを機にはまって、現在では衣装の数はキャラ別なら40キャラ以上、衣装そのものの数は80~100着くらいあると思います。
――それは凄いですね。さくらさんが好んでコスプレをするキャラクターに、法則のようなものはあるのでしょうか。
さくら:背が低く、ツインテで、ピンク系が好きなキャラの属性なので、それらを好んで着ることが多いですね。『美少女戦士セーラームーン』のセーラーちびムーン、『カードキャプターさくら』のさくらちゃん、『スター☆トゥインクルプリキュア』のキュアミルキー、『【推しの子】』の有馬かなちゃん、『ウマ娘 プリティーダービー』のスマートファルコンがお気に入りです。
『ラブライブ!』の“にこにー”が大好き
――今年の池ハロでは、コスプレイヤー・オブ・ザ・イヤー2024のシャイニー(男性・女装部門)部門でグランプリを受賞されたそうですが、そのときにコスプレしたのは『ラブライブ!』の矢澤にこでしたね。
さくら:矢澤にこ、“にこにー”は大好きなんです。かわいいツインテ、かわいい見た目、基本的な立ち回りがコメディリリーフなのですが、言うところはしっかり言うという芯の強いところが最高です。コスプレイヤー・オブ・ザ・イヤー2024でも、にこにーのコスプレで賞をもらえたのは感無量です。
――にこにーは僕も大好きなキャラなのですが、いつ頃好きになりましたか。
さくら:『ラブライブ!』がアニメ化される前からかわいいと思っていましたが、アニメを見てもっと好きになったのです。コスプレを始めた直後から、にこにーの衣装を買っています。最初は不慣れで完成度が低かったのですが、かわいくなるように研究を重ねてきました。
――特に、にこにーのコスプレをする上でこだわっているポイントはありますか。
さくら:キャラデザの室田雄平さんのこだわりだと思いますが、にこにーは触覚(前髪のサイドの毛)が左右非対称なんですよ。うまく再現するのに苦労して、ウィッグは何回も新しくしました。もちろん、ポーズなどキャラ特有の仕草はアニメを何度も見て研究しています。衣装も“にこ”だけに“25”着以上ありますよ(笑)。音ノ木坂の制服からライブ衣装、さらにスクフェス(ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル)ではいろいろな衣装が出ているので、かなり買い込みました。