2023年、漫画界はどうだった? ラブコメから鬼才の作品まで……長期連載の完結ラッシュが続々
2023年もそろそろ終わろうとしているが、漫画界の1年を振り返ると、さまざまな出来事が起きていたように思われる。とくに印象的だったのが、長期連載されていた人気作品が相次いで完結を迎えたことだ。実際にどんな作品が終了したのか、出版社や掲載誌を問わず取り上げていきたい。
有名メディアミックス作品の完結
まず今話題を呼んでいる作品としては、九井諒子の『ダンジョン飯』が挙げられる。同作は2014年から『ハルタ』に掲載されていた長編で、グルメ漫画と“ダンジョンの攻略”を組み合わせた斬新な発想によって人気に。『このマンガがすごい!』など数々の漫画賞に輝き、2024年1月からはTVアニメ版の放送も決定している。 漫画好きのあいだでは言わずと知れた人気作だが、2023年9月をもって約9年半にわたる連載が終了した。
同じく映像化作品でいえば、『フィール・ヤング』で6年間連載されていたヤマシタトモコの『違国日記』が6月に完結。同作は新垣結衣と早瀬憩のW主演による実写映画が2024年6月に公開される予定だ。
また、2016年にTBS系でTVドラマ化された松田奈緒子の『重版出来!』も、6月27日発売の『月刊!スピリッツ』8月号にて、およそ11年にわたる連載にピリオドを打った。
さらにTVアニメ化、実写映画化によって話題を呼んだオジロマコトの青春物語『君は放課後インソムニア』は、8月21日発売の『ビッグコミックスピリッツ』38号で完結を迎えている。
ラブコメの世界で大きな変化
2023年にとりわけ完結作が目立っていたジャンルがラブコメだ。『少年ジャンプ+』で矢吹健太朗の『あやかしトライアングル』と水あさとの『阿波連さんははかれない』が終了した一方、『週刊ヤングジャンプ』では雪森寧々の『久保さんは僕を許さない』が大団円を迎えた。
さらに山本崇一朗の作品では、『ゲッサン』の『からかい上手の高木さん』と『週刊少年マガジン』の『それでも歩は寄せてくる』が完結。他の作品に目を向けてみても、『週刊少年マガジン』ではヒロユキの『カノジョも彼女』、『マガジンポケット』では真木蛍五の『可愛いだけじゃない式守さん』、『週刊少年サンデー』ではねこぐちの『このマンガのヒロインは守崎あまねです。』、『マンガクロス』では藤近小梅の『隣のお姉さんが好き』がそれぞれ完結している。TVアニメ化された作品も含めて、数多くのラブコメが一気に物語を畳んだことが分かるだろう。
ジャンルの性質上、いつまでも物語が続くわけではないため、ラブコメはそこまで長期連載にはなりにくいもの。とはいえ、同時期にいくつもの人気作が幕引きとなった背景には、読者の需要が変化しつつあることも関係しているのかもしれない。ラブコメ作品は他のジャンルと比べて、時代の移り変わりによる価値観の変化を反映しやすいからだ。