幻影は記憶にある人物のまま、優しい言葉をかけ、再会を喜ぶもの。しかし、フリーレンが見たヒンメルの幻影は、ただ一言「撃て」というだけだった。どんな状況においても、ヒンメルはまったくブレずに“正解”を導き出すだろう、というフリーレンの圧倒的信頼感が伺えるシーンであり、それこそがパーティーのリーダーたる勇者にとって最も重要な能力なのかもしれない。その精神力とリーダーシップが、戦闘においても極めて有効に機能していたことが、グラオザームとの戦いで明らかになったという印象である。

　フリーレンの旅はヒンメルとの思い出をたどる旅であり、今後もその活躍が描かれていくだろう。お茶目で優しい姿もいいが、時にはこうした「強い勇者」としての姿も見せてほしいところだ。