『キングダム』秦六大将軍、常勝・王翦はなぜ強い? 軍を支える3人の将軍を徹底解剖

 中国の春秋戦国時代を舞台に、中華統一の軌跡を描いたマンガ『キングダム』。史実に基づいた合戦の中で描かれる各キャラクターの個性や生い立ち、ストーリーが魅力的な作品だ。

 そんなキングダムの作中に登場するキャラクターの中で、「常勝」と他国から恐れられている将軍が、六大将軍第1席の王翦。難敵である李牧にも勝利する場面を見せるなど、作中随一の軍略を見せている。

 しかし、王翦軍は王翦だけで常勝できている訳ではない。王翦軍には、亜光将軍、田里弥将軍、倉央将軍の3将がその躍進を支えている。そこで本稿では、この3将に注目してそれぞれの役割について考察していく。

亜光将軍

 亜光将軍は自身も矛を振るうタイプの武将だ。珠海平原の戦いでは、馬南慈と堯雲の2人を相手取りながら、馬南慈に一太刀を浴びせる武勇を見せた。しかし、致命傷を受けた亜光は戦線を離脱。作中で初めての戦いかつ、王翦軍第一将である亜光将軍の退場には、期待はずれかと思われたがそうではなかった。

 真価を見せたのは、亜光退場後の軍の強さ。亜光軍の副官である段茶が大将代理を勤めていたが、亜花錦からアドバイスを受けたり戦場の変化に不安を見せたりと、将としては力不足だと感じさせる一面が描かれていた。とはいえ、劣勢に立たされた秦右翼が大きく崩れなかったのは、大隊である亜光軍が崩れずに粘り強く戦い抜いたからだろう。

 王翦から細かな指示もなく、戦の要となる場所に配置されているのをみると、絶大な信頼を得ているのは明らか。番吾の戦いでは軍の動きや働きにも注目だ。

田里弥将軍

 田里弥将軍の戦い方は、腕を大きく動かすことを合図とした後方指揮スタイル。亜光将軍のように矛は持たず、相手の陣形から最適な陣形を選択し指示を出している。

 珠海平原の戦いでは、手を挙げ捻るような合図で『蛇陣(だじん)で波壊(はかい)しろ』と波形攻撃と線上攻撃を組み合わせた戦術を展開。李牧の軍には通用しなかったものの、倉央将軍の「蛇陣のカラクリを一瞬で見抜きやがった」という言葉から、高度な戦術であると伺える。

 となると、作中で大きな活躍をしていない田里弥将軍が、なぜ戦場の中央に配置されているのか問題は残る。

 田里弥将軍が中央に配置されているのは、同じ戦術家である王翦将軍の模擬戦として前方を担当しているのではないだろうか。李牧が麃公将軍のような本能型の指揮を展開した際に、田里弥が戦術で対抗した描写がある。王翦はその間、対抗するための戦術をじっくりと考えることができ、その戦略に対抗することができた描写がある。

 事例が一つしかないため確かではないが、番吾の戦いでも、田里弥将軍が中央軍に配置されていた描写があったことから、珠海平原でも似たような状況があるかもしれない。

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