料理研究家リュウジ × 味の素スタッフ『虚無レシピ』鼎談 「手間をかけた料理があるなら、雑でうまいもんがあってもいい」

「俺が料理の研究を始めた6、7年前は、誰も『味の素®』の話をしてなかった」

鈴木明日香さん

――「許される」という意味では、昆布などから出汁を取る手間を省いて、「味の素®」でうま味を足すというのも、なかなか許されてこなかったところですよね。

リュウジ:本当に、今どれだけ昆布を常備している家庭があるのよって話じゃない。水に漬けたり、火加減を調整して煮出したり……って、それを好きでやる人もいていいけど、そんな手間をかけなくても「味の素®」なら1リットルあたりたった3振りでバシッとうま味が決まるわけ。昔ながらのやり方が好きな人が進化したものを使う人がいてもいいんじゃないのって言いたいよね。黒電話からスマホへ、洗濯板から全自動洗濯機へってみんな便利なものをどんどん取り入れているじゃない。なのに、料理に関してはなぜか厳しいまんまなんだよね。

――リュウジさんの動画では、すっかり「味の素®」を使うのがおなじみの光景になってきました。

リュウジ:俺が料理の研究を始めた6、7年前は、誰も「味の素®」の話をしてなかったよ。そこから戦い続けて、今度ついに「味の素®」をテーマにした本まで出すことになって。もう、俺自身がほぼ「味の素®」よ(笑)。それでもまだ言われるからね。テレビとか雑誌に出演する際に「『味の素®』はちょっと……」って。なのに、同じようにグルタミン酸が入ってるほんだしとか、鶏がらスープの素とか、コンソメは「OKです」って、それはおかしいじゃない。「『味の素®』がNGって言うなら、俺のほうから願い下げだ!」って仕事を断ったことさえあったから。これまで随分と戦って来たよ。なんで、俺こんなに頑張ってんだってくらい(笑)。でも、やっぱりそういう矛盾みたいなことになってるのは、俺はどうも気持ち悪くて。「味の素®」ってうまく使えばこんなに便利なんだって、当たり前のことを言い続けてきたんだよ。

鈴木:ありがとうございます。おかげさまで、「味の素®」にポジティブなイメージを持って下さる方が増えてきていることを感じています。

鈴村:リュウジさんの動画を見て、なんとなく持っていたネガティブなイメージが払拭されて、実際に「使ってみたらおいしかった」というお声も届いています。企業として発信するメッセージだけでは伝えきれない部分を、リュウジさんが発信してくださっているのは本当にありがたいです。

リュウジ:それこそワードなんですよ。やっぱり「化学調味料」っていう言葉のイメージが時代と共にケミカルで人工的なものっていう方向に膨らんでいった。自然なものだって毒もいっぱいあるのにね。さらに追い打ちをかけるように「『味の素®』を使いすぎるとこんなに体に悪い」みたいな情報も出て。でも、その内容ってよく見ると実はとんでもない量を使っていたわけで。「いやいや、それだけの量を使ったら塩でも醤油でも死ぬから!」って、俺ははっきり言えるけど、味の素㈱さんはそんな言い方できないよね。

鈴木:そうですね。おっしゃるとおりで。メディアでも、なんとなく「味の素®」は避けたほうがいいという空気が根づいていた中で、安心して使える調味料であることをリュウジさんが事実として伝えてくださったことで、だいぶ印象が変わってきたなと。

――そもそもリュウジさんと味の素(株)さんの出会いというのは?

鈴木:「『味の素®』を使ってくださっている料理研究家さんがいるみたいだよ」という噂を聞きつけて、リュウジさんのイベントで声をかけさせていただいたのが最初です。私たちと同じか、それ以上に「味の素®」に関する知識をお持ちで、そのうえでレシピの考案をしてくださっていたので「ぜひぜひ一緒に」と。

鈴村萌花さん

リュウジ:俺のSNSのフォロワー数がまだ2〜3万人くらいのときのサイン会だったかな。でも、義理堅いよね。そこからもう何年も一緒にお仕事させてもらっているけど、プロモーション動画内での飲酒もOKだし、虚無もOKだし。一番柔軟にやらせてもらっているなって。俺が大企業の担当者だったら、こんな危なっかしい料理研究家をPRに使わないよ(笑)。

鈴村:いえいえ、リュウジさんならと信頼しておりますので。

リュウジ:まあね、俺は結果をちゃんと出すから。そこは信念持ってやってるからね。

――逆に、リュウジさんだからこそ言える味の素㈱さんへのダメ出しというのはあるんですか?

リュウジ:あのね、「味の素®」は全国どこのお店にも置いてるんだけど、「うま味だし・ハイミー🄬」がなかなか置いてないって苦情がなぜか俺のところにくるのよ。特に瓶のタイプね。瓶で「何振り」って動画で説明しちゃってるから、「袋のしかなかった」とか言われると困っちゃって。「いやいや、それは味の素㈱さんに言ってよ!」って(笑)。

鈴村:その節はご迷惑をおかけしました。我々も営業部門に伝え続けた結果、半年で1000店舗以上のお取り扱いが増えまして。今後も順次増えていくと思います。

リュウジ:市民権を得てきたとはいえ、まだまだ俺以外のレシピで「味の素®」が登場することが少ないから「買ったあと、どうやって活用すればいいのかわからない」っていう声もあってね。そこは味の素㈱さんも、もっと怖がらずに「こうやって使って!」って発信していってほしい。味の素のSNSは真面目すぎるから(笑)。

鈴木:そうですよね。もうちょっとフランクに……そこはうちの課題とも思っていまして。勉強させていただきます!

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