『キャプテン翼』リアルの日本代表にも刺激を与えた? 強豪国を撃破したベストゲーム3選

 昨今、目覚ましい活躍を見せる我らがサッカー日本代表。欧州5大リーグと呼ばれる世界中の名選手が集まる舞台でプレーする選手も珍しくなくなり、今やアジアはもちろん、世界のトップクラスの国とも互角に戦えるだけのポテンシャルを持つまで成長を遂げている。

 記憶に新しいところではFIFAワールドカップカタール2022での、過去にW杯優勝経験を持つドイツ、スペインを破り世界中に驚きと興奮をもたらした試合が挙げられるだろう。さらにこの9月10日に敵地で完全アウェーのなか行われたドイツ代表との親善試合でも4-1と快勝し、決して前回の勝利が偶然ではなかったことを証明している。

 日本が初めてW杯に出場した1998年は、海外チームに所属する選手が1人もいなかったことを考えると、ここ20数年で急速に進化を遂げていることは疑いの余地がない。そして現在のサッカー選手たちに大きな影響を与え、日本サッカーの可能性を見せてくれた作品が『キャプテン翼』(高橋陽一)であることにも触れておきたい。

 作中では年代別の日本代表の活躍が鮮やかに描かれており、フル代表とはまた違ったシチュエーションながらも、リアルの日本代表の活躍にも繋がるような強豪国を撃破した試合が少なくない。本稿ではそのなかからベストゲームを3つ紹介させていただきたい。

第1回フランス国際Jrユース大会準決勝VSフランス戦

 まずは『キャプテン翼』Jrユース編より、イタリア、アルゼンチンを撃破し勢いに乗る全日本Jrユースが準決勝で対峙したフランスとの1戦をピックアップしておこう。開催地ということもあり、ホームの大声援を受けるフランスに対して臆することなく果敢に戦いを挑む全日本ーー。

 国際試合なのになぜか主審もフランス人という完全アウェーの状況のなか、守備の要の1人、早田が前半早々に退場してしまうという苦しい展開。さらに不可解な判定で2回もゴール判定を取り消されるなど、1-3で前半を折り返した後のロッカールーム。選手たちの審判への怒りが収まらないなか、キャプテンである大空翼は「おれたちのこの怒りはボールにぶつけよう」とチームを鼓舞し、後半の怒濤の追い上げへと繫げるのだ。

 例えビハインドになっても、決して悲観することなく戦う姿勢をこの試合から学ぶことができるだろう。降りしきる雨のなか、互いの死力を尽くした1戦はPK戦までもつれ込む壮絶な展開に。極限の緊張感の中で冷静にPKを決める大空翼の勇姿は日本サッカーの夜明けを感じさせる瞬間であった。

 また、決戦の舞台がリアルの日本代表が初めてW杯出場を果たした場所と同じフランスであることも、どこか運命めいたものを感じさせてくれる。

ワールドユース決勝戦VSブラジル戦

 続いては日本で急遽開催となったワールドユース決勝、ブラジル戦を挙げたい。この大会をここまで5戦無失点30得点の圧倒的な強さで勝ち上がってきたブラジル。対して、これまで数多くの負傷者を出しながらも接戦を制し、なんとか決勝に駒を進めた日本代表。

 大会前に交通事故で大怪我を負った翼の親友でありゴールデンコンビの“相棒”である、岬太郎が懸命のリハビリの末、遂にワールドユースのピッチに立ったことでも印象的なこの試合。翼の師匠でもある元ブラジル代表の10番・ロベルト本郷がブラジルユース代表の監督して立ちはだかる展開も見逃せないポイントだ。

 下馬評を覆し日本がワールドチャンピオンになるのだと、不屈のメンタルで競合ブラジルを撃破したこの一戦は日本サッカー界の新たな歴史を刻んだのだ。

 そしてこの試合を契機に、翼達はいよいよ欧州トップリーグへの挑戦を果たして行くのだ。代表戦のみでなく、日頃から世界を間近に体感できる環境に選手たちが次々と移籍を果たして行く展開は、現実世界の日本代表と同様の流れといえるだろう。

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