肩身の狭い愛煙家たちのヒューマンドラマが100万部突破! 注目の漫画『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』
『ヤニすう』はメインキャラクターだけでなくサブキャラクターも魅力的だ。スーパーSの店長を務める後藤は一見すると無表情でそっけないが、趣味は恋愛漫画を読むことで、時には漫画を読みながら涙を流すことも。山田が体調を崩しながらも無理に出勤しようとした際には叱責し出勤を食い止めるなど、部下思いな一面も覗かせる。レジのチーフを務める前澤は、時々不用意な言葉を発してしまうが、素直ではつらつとした笑顔の絶えないスタッフだ。スーパーSでは一番のベテランである大野はどのスタッフからも信頼されているが、時折覗かせるブラックな一面にニヤリとしてしまう。青果部門のチーフを務める小畑は内気でシャイでおとなしいが、仕事は一流。この『ヤニすう』という作品に惹きつけられるのは、どのキャラクターも人間的な魅力が溢れているからこそではないだろうか。
7月25日に発刊となった最新3巻には、佐々木の既婚者疑惑がスーパー内で浮上したり、小畑が初登場したり、佐々木のとある過去をキッカケに佐々木と山田がケンカしてしまったりと、佐々木と山田の関係はもちろん、サブキャラクターたちの関係もどんどん深まっていくエピソードが多数収録されている。今年1月に発表された「マンガ大賞」にもノミネートされ、8月には単行本の累計発行部数は100万部を突破するなど、『ヤニすう』は今まさに大注目の作品だ。当初はTwitter(現 X)で作者の地主が公開していた『ヤニすう』であったが、現在では上述の通り『月刊ビッグガンガン』での連載を軸に、Twitterでも引き続き公開されている。単行本や雑誌と合わせて作者のTwitterにも注目してほしい。
きっかけが何であれ、それが例えたばこであったとしても、人と人がお互いを想い合う姿は美しい。『ヤニすう』を読めばきっと、誰かのことを想ってみたくなるはずだ。