西尾維新原作『暗号学園のいろは』次世代のジャンプ看板候補となるか 冴えた”暗号解読”の路線変更
『ルリドラゴン』に『アオのハコ』や『あかね噺』など、「週刊少年ジャンプ」ではネクストブレイクを期待される作品が次々と生まれている。そのなかでも高いポテンシャルを感じさせるのが、『暗号学園のいろは』だ。
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同作は「週刊少年ジャンプ」2022年51号から始まった連載作品。作画を岩崎優次、原作を『化物語』や『掟上今日子の備忘録』などの代表作をもつ人気小説家・西尾維新が手掛けている。テーマはもちろん暗号であり、次なる世界大戦に向けて少女たちが暗号解読を学ぶ「暗号学園」が物語の舞台だ。
連載が始まった当初は人気獲得に苦戦していた印象だが、今や熱狂的なファンが急増。ここ数カ月で二度のセンターカラーを獲得しており、さらなるブレイクの兆しを見せている。
人気に火が付いたきっかけとしては、作品の途中から“暗号の扱い”が変わったことの影響を考えるべきだろう。連載初期の暗号は、読者に対して一種のクイズとして提示されており、さながらミステリー小説における「読者への挑戦状」のような役割だった。
しかし途中から暗号解読フェイズは、たんなる謎解きではなくなっている。時には登場人物たちの心理戦であり、時には相手への私的なメッセージであり、時には合法的な拷問であり……。共通しているのは、暗号を通して登場人物のバックボーンやキャラクター性が表現されている点だ。
暗号の内容や出題法、解き方に至るまで、各キャラクターの魅力が詰め込まれており、もはや読者は“暗号抜き”でストーリーを楽しむこともできるようになった。西尾の代表作である戯言シリーズでは、本格ミステリーからキャラクター小説へと物語の比重が変わっていったが、それと同じ現象が同作でも起きているのかもしれない。