ブックオフ過去最高益、立ち読み許容で成長も今や書籍以外のトレカやホビーが主力商品に

トレカがブックオフの成長に貢献

 ブックオフグループホールディングスが7月10日に発表した2023年5月期連結決算によると、純利益が前の期比91%増の27億円となり、過去最高益を更新した。日本経済新聞が報じた。売上高は11%増の1018億円。注目すべきはトレーディングカード・ホビーの売上高が45%増になったことと、アパレルも21%増となって、業績を押し上げたという点だ。

 ブックオフといえば「本を売るならブックオフ♪」のCMで有名で、いわゆる新古書店チェーン店の代表格である。その名の通り、本、CD、ゲームなどに特化した品ぞろえで知られていた。急成長した時代は、本の販売方法を巡って出版社との間に対立が生まれたこともあった。

 ちなみに、ブックオフの強みの一つが立ち読みができることである。現在もホームページで立ち読みを推奨するほど、ブックオフの特色のひとつとして継承されている。かつて新刊書店がブックオフの煽りを受けたのは、本をビニールで覆い、立ち読みを禁じたことの影響もあるのではないかと見ている。

 そんなブックオフが大きく変貌している。以前からのブックオフユーザーで、久しぶりに店舗を訪れた人は驚くのではないだろうか。本以外の品物がたくさん並んでいるためだ。むしろ、店舗によっては本の売り場面積より、それ以外の品物の方が目立っていることもある。

 ファッションブランドなどのアパレル系、腕時計やバッグなどのブランド品、アニメのフィギュアやアクリルキーホルダーやぬいぐるみ、そしてポケモンや遊戯王などのトレーディングカードまで、取り扱っているジャンルは実に幅広い。その趣は古書店というより、今やなんでも売っている総合リサイクルショップのようである。

 特にトレカは、ポケモンカードのブームの影響もあって取扱店舗が増加し、売上増に貢献したことも頷ける。7月15日にリニューアルオープンする「BOOKOFF SUPER BAZAAR 松戸駅東口店」は首都圏近郊を代表する大型店舗だが、4階にホビー・トレカ専用フロアを設け、さらにトレカ対戦スペースを48席新設するという。ブックオフがトレカを重視していることがよくわかる。

絶好調な中で、本業の書籍は?

 なお、ブックオフが増収となったのは、「書籍を除く全ての品物」であった。本が増収になっていないのは、フリマサイトなどの競争相手が増えたことや、電子書籍の販売が増加して紙の本が売れなくなっている影響も大きそうである。

 とはいえ、ブックオフにとって本の扱いが重要であるのは間違いない。例えば、引っ越しの際に整理の対象になるものといえば、漫画などの本が筆頭である。新生活のタイミングで、大量の漫画をブックオフに持ち込んだ人も少なくないのではないだろうか。本が中心にあるからこそ、他の品物の持ち込み先としてもブックオフを選ぶ消費者が多いのだろう。

 また、フリマサイトがある中でもブックオフが選ばれるのは、大量に品物がある場合はサイトへの出品が面倒であるからだ。まとめて買ってくれるブックオフは、圧倒的に利便性が高い。しかも、あらゆるものを買い取ってくれるとなると、消費者にとってメリットは大きいだけでなく、ブックオフ側にとっても品物を集めやすくなる。

 本を軸にあらゆるものを扱う総合リサイクルショップへと成長しているブックオフ。中古品の売買が盛んになる中で、今後も業績から目が離せない企業である。

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