中川翔子の爆買いでも話題の「まんだらけ」 その深淵な世界が凝縮された本「まんだらけZENBU」とは

  近年、漫画・アニメ全般に詳しい中川翔子をはじめ、声優アイドルグループi☆Risの茜屋日海夏が訪問するなど、YouTubeでも何かと取り上げられることが多い「まんだらけ」。ご存じ、中野ブロードウェイに本店を置き、漫画やアニメに関連したあらゆる商品を取り扱う専門店だが、その真髄を感じることができる本がある。2ヶ月に1回刊行されている「まんだらけZENBU」である。

 「まんだらけZENBU」を一言で言えば、まんだらけで2ヶ月に1回行われている「まんだらけ大オークション」のカタログである。つまり、誌面に掲載されている商品はすべて購入できるのだ。近年は手塚治虫や宮崎駿の直筆モノや、スタジオジブリのセル画を巡って、日本はもちろん海外の熱心な愛好家が熾烈な入札合戦を繰り広げている。

  オークションのカタログと聞くと、手を出しにくい印象を持つ人も多いかもしれないが、本書の魅力はそれだけではない。まんだらけが創業当時から扱うヴィンテージコミックから、ソフビやブリキなどのおもちゃ、ビックリマンシールからポケモンカードまであらゆる商品が掲載されているため、ページをめくるだけで楽しいのだ。しかもほぼ全ページフルカラーなのに、税込1,000円という安さである。

  おもちゃなどは「昔持っていた!」と懐かしい気分になれるはずだし、雑誌などは「この号を読んでいたなあ」と思うはずだ。そして、そういった商品に驚きのプレミアがついていると、「売らなきゃよかった!」「捨てなきゃよかった…」と、ちょっと悔しい気持ちになる人も多いのではないか。

  最新号の116号で個人的に注目したのが、『ビックリマン』のパチシールである。その名の通り、正規品ではない偽物のシールなのだが、キャラの絵が手描きでなんとなくしょぼかったり、裏面の「ロッテ」が「ロッチ」になっているなどインチキ臭さが満載なのだが、その懐かしさゆえ、近年人気が集まっているのだという。

  なんとパチシールのパチシールまで出ているそうで、いろいろな意味で「偽物とは何か?」と考えさせられる品物なのである。なお、記者も駄菓子屋で『ビックリマン』のシールと思って買ったところ、パチシールを掴まされた経験があった。著作権の意識がゆるかった時代だからこそ存在したといえるが、『ビックリマン』シールの人気の高さを物語る意味で、文化史的な価値も高い品物といえよう。

  また、原画やセル画などは1点物の貴重な品物なので、美術展の図録を見ているように楽しめる。特にジブリのセル画には美術品的な価値を見出す人も少なくなく、海外からも注目を集めているようだ。

  あらゆる商品を網羅的に掲載しているため、資料的な価値も高い。オークションが終わった後でも図録や資料としても人気があるため、モノによっては入手困難になっている号も少なくない。まんだらけの店頭では中古本も販売されているが、自社が出した本でありながらプレミア価格で販売されているものまである。

 中野ブロードウェイでまんだらけの店頭を見るだけで、その濃さに圧倒される人も少なくないが、そのマニアックなエッセンスを凝縮したのが「まんだらけZENBU」なのである。気になった人はぜひ手に取ってみてはいかがだろうか。奥深すぎるマニアの世界に圧倒されること間違いなしだ。

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