『ドラゴンボール』界王様が孫悟空に伝授した技、意外に使えない? 「界王拳」の効果を検証

  鳥山明の名作漫画『ドラゴンボール』の主人公、孫悟空にはたくさんの「師匠」がいる。最初に本格的な修行をしてくれたのは亀仙人だが、その前に悟空の育ての親である孫御飯から武術の手ほどきは受けているし、その後はカリン様、神様、界王様など、たくさんの師匠から教えを授かってきた。

  そのたびにたくさんの技を習得しているのだが、中盤で作品を象徴するような重要な技を伝授してくれた師匠といえば界王様だろう。中でも界王拳と元気玉は、亀仙人が編み出した技・かめはめ波と並ぶ『ドラゴンボール』のシンボルといえるのではないだろうか。

  しかし、界王様が伝授した技は、悲しいことにさっぱり敵を倒せていないのである。劇場版アニメでは役に立っている見せ場が何度もあるのだが、少なくとも漫画では敵を明確に倒せている描写がない。

  例えば、最強の必殺技である元気玉を見てみよう。ベジータ戦、フリーザ戦などでも登場するが相手を倒すには至らず、結局敵を消滅させることができたのは魔人ブウ戦にとどまっている。人造人間やセル相手には使われることすらなかった。

  そして、界王拳はといえば、元気玉以上にあまり見せ場を作ることができていない技なのである。界王拳は使用している間は戦闘力が高めるパワーアップ技のひとつで、力、スピード、破壊力、防御力が何倍にもなるのだという。作中では2倍界王拳、20倍界王拳などといった塩梅にその力のレベルが表現される。

  しかし、界王拳は悟空にとって諸刃の剣であった。使っている間は確かに力が発揮できるのだが、反面、体に大きな負担を与える。そのため一気に敵にダメージを与えなければ、自分をも追い込んでしまうのだ。

  結果、悟空は界王拳を限界まで使った挙句、かえって劣勢になってしまうことが多かった。ベジータ戦もそうだし、フリーザ戦もそうである。そして、確かに界王拳の効果を見た相手は一時的には狼狽えるのだが、致命的なダメージを与えるまでには至らなかった。結局、界王拳でそれなりに効果があったのは、ナッパ戦だけである。

  ちなみに、界王拳は悟空が超サイヤ人になって以降は使われなくなった。その理由は単純で、界王拳以上の力を発揮できるようになったためだが、何より悟空自身が、体力を消耗しすぎる技のデメリットに気が滅入ってしまったのではないだろうか。

  悟空がどんなに修行を重ねても、それを上回る敵が登場していく。『ドラゴンボール』の特徴は、必殺技がなかなか必殺技になり得ていない点で、とにかく読み進めるたびにハラハラの連続なのだ。しかし、せめてもう少し、技に見せ場があってくれても良かった気もしないわけでもない。

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