『ブルーロック』國神錬介はスーパーヒーローになれるのか 自己否定を乗り越えて描く成長曲線

※本稿は『ブルーロック』のネタバレを含みます。

 日本代表の座をかけて集まった300名の高校生FWたちの、しのぎを削る様子を描いた『ブルーロック』(原作:金城宗幸/漫画:ノ村優介)。本作の魅力といえば、やはり登場人物たちが成長していく姿だろう。

 主人公の潔世一らと共に勝利に貢献してきた國神錬介は、連載初期から現在にかけて大きく変化した登場人物でもある。具体的なネタバレは控えるが、現在連載で進行中のエピソードでも國神の奮闘が伝わえられている状況だ。

 選手たちが生活や選考会を行う施設「ブルーロック」(青い監獄)の入寮テストから一次選考までの頃の國神といえば、チームメイトと小競り合いをする様子が描かれており、どちらかと言えば、見た目も相まって粗暴な態度が目につく選手だったかもしれない。

 一方でチームメイトを褒め称えるところもあるなど、素直な一面もあった。それを象徴するのが、潔からのパスで國神が得点を決めたあとのこと。チームメイトといえどもライバル同士。必要以上に馴れ合わない選手が多いなか、國神は「サッカーでスーパーヒーローになる」という自分の夢を語り、得点を決めたボーナスのステーキを潔に分けてあげるのだ。どこか恐い雰囲気ではあるが、仲間想いで誠実な人物という描かれ方であった。

 しかし、連載中期からは大きく変化を遂げることに。國神は「ブルーロック」に入寮してからというもの、自身より強い選手たちに打ちのめされる日々が続いていた。そして彼は途中で「ブルーロックプロジェクト」から脱落することになるのだが、紆余曲折を経て再度、最終選考組と合流することになる。しかし連載初期とは打って変わり、ダークサイドな雰囲気を身にまとわせていた。しかもスーパーヒーローになるという夢に対しても「そんな青臭ぇ戯言は地獄に捨ててきた」と自身で否定するほど歪んだ性格へと変貌していたのだ。

 外見や内面だけではなく、変化したのは能力面も例外ではない。自身のステータスを数値化し、上位11名だけがスターティングメンバーに選ばれるシステムが採用された際には、「ブルーロック」内でも比較的下位に位置していた國神が3位にランクインする描写もあった。そして今までの國神からは考えられないほどスタンドプレーが増加し、ことある事に、仲間にきつく当たることも多くなっていたのだ。

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