『呪術廻戦』名前の由来はアジカンのドラマー? Twitterでトレンド入りした「伊地知さん」の魅力
※本稿には『呪術廻戦』のネタバレが含まれます。連載最新話を未読の方はご注意ください。
現代最強の呪術師・五条悟と呪いの王・両面宿儺をめぐり、気になる展開が続いている人気漫画『呪術廻戦』(芥見下々)。5月22日発売の「週刊少年ジャンプ」に掲載された最新話で、決して派手とは言えないキャラクター「伊地知潔高」に見せ場があり、Twitterでハッシュタグ「#伊地知さん」がトレンド入りするなど、話題を広げた。
『呪術廻戦』という作品をまったく知らなくても気づく人はいるだろう、名前の由来は人気バンドASIAN KUNG-FU GENERATION(アジカン)のドラマー「伊地知潔」とされる。本人も認知しており、2020年6月1日発売の『BRUTUS』に掲載されたマンガ特集で、『呪術廻戦』について語っていた。
ちなみに、アニメ版が大ブレイクし、来春には劇場総集編の上映も決定している『ぼっち・ざ・ろっく!』(はまじあき)も、バンドメンバーの苗字がアジカンメンバーに対応しており、ドラムスが「伊地知」虹夏と名付けられている。数々の人気アニメで主題歌を担当してきたアジカンのメンバーの名前が、近年でトップレベルのヒット作品といえる2作に登場しているのは、なかなか面白い。
さて、今回トレンドになった「伊地知さん」はどんなキャラクターなのか。伊地知潔高は主人公・虎杖悠仁らが通う東京都立呪術高等専門学校の卒業生で、現在は同校で補助監督を務める。学生時代は五条悟の2年後輩にあたり、黒髪にメガネ、こけた頬が印象的なビジネスパーソン風のルックスで、冒頭に記したように派手さは一切ない。奔放な五条のフォローに追われる、冗談が通じない事務的な人物……に見えるが、実は生徒たちに対する責任感や愛情を人一倍持った、人間くさい好キャラクターだ。
そんな伊地知が今週、フィーチャーされたのは、宿儺との激突を控えた五条に「結界」を張るよう頼まれたため。戦闘よりこうした後方支援が得意であることはこれまでの描写からも伝わってきたが、本人が「なんで私なんですか/結界を張るだけなら/私より適任がいるはずです」と疑問を持ったように、多くの読者も大一番で重要な働きをするタイプとは思っていなかったはず。しかし、彼の善良さを知っているだけに、できることなら活躍してほしい……と期待していたところに、五条が言い放ったのが「……マジで分かってねえの?/オマエが1番信用できる/そんだけだよ」という一言だった。
普段の仕事から苦労が絶えず、生徒たちのためにも苦悩してきた「伊地知さん」が、作中最強の呪術師・五条悟に無条件の信頼を寄せらたことを意気に感じ、「応えられなければ/ここで死ね!」と自分を追い込んで結界を張る姿に、多くのファンが感動したというのがトレンド入りの理由だ。
驚くべき能力を持ったキャラクターが多数登場する『呪術廻戦』。なかでも飛び抜けた実力者である五条と宿儺の戦いにフォーカスがあたるなかで、共感可能な中間管理職キャラ・伊地知が存在感を示したことは意外でもあり、作品の懐の深さを感じることでもあった。激化する戦いのなかで、実直に仕事をこなしてきた彼らがどう活躍してくれるのか、引き続き注目していこう。