『THE FIRST SLAM DUNK』声優陣一新にCG化……公開前は批判の嵐、ふたを開ければ大ヒットの理由

  「週刊少年ジャンプ」での連載で、誰もが知る名作に上り詰めた『SLAM DUNK』。2022年には連載終了から26年の時を経て『THE FIRST SLAM DUNK』が公開され、興行収入130億円を突破。さらには日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を獲得という記録的な大ヒットとなった。しかし公開前は最悪の前評判だったことを知っているだろうか。そこで今回はなぜ『THE FIRST SLAM DUNK』が前評判を覆しての大ヒットになったのか、その秘密を深堀りしていこう。

フルCGに声優陣一新……26年ぶりの映画化も最悪の前評判

 まずあれだけの大人気漫画『SLAM DUNK』の映画化にも関わらず、なぜ最悪の前評判となってしまったのか……。最初に『SLAM DUNK』ファンの不安をあおったのは、過去のアニメ版のような手書きアニメーションではなくフルCG化されるということだった。CGでは『SLAM DUNK』ならではの汗の描写や、迫力のある動きが表現できないのではと不安視するファンが多かったのだろう。

 そして極めつけが本作での声優陣の一新。声優陣に関しては主要キャラクターの声優・草尾毅や緑川光が現在も第一線で活躍していることもあり、「なぜ変える必要があるのか」と公開前から不満の声が殺到してしまったのだ。このような事情から『THE FIRST SLAM DUNK』は最悪の前評判を背負っての公開となった。

最悪の前評判……にもかかわらず大ヒットとなった理由

 ではどうして公開前から批判が相次いだ『THE FIRST SLAM DUNK』が、興行収入130億円超えの大ヒットとなったのか。ネット上では「今さら映画化されてここまでヒットした理由ってなんだろう」という声に対してさまざまな意見が飛び交った。

 多く上がっていたのが「山王戦メインなら面白いに決まってる!」「原作がめちゃくちゃ面白いから」という井上雄彦先生による原作力を褒めたたえる声。また意外だったのは、映画公開前に批判の対象となっていたフルCG化や声優陣交代が大ヒットの理由として挙げられていたことだ。

 「CG作画が段違いだった! 絶対に映画館で見た方がいい」「声優陣を一新させたかった理由が見ればすぐに分かった。前評判の悪さが一瞬で吹き飛ぶ面白さ」など、これまでの批判はなんだったのかという高評価が並んでいる。

 また本作では井上先生が原作にとどまらず脚本・監督を務めており、公式ホームページのインタビューではキャラクターに血を通わせるために相当数のレタッチを入れたことを明かしている。その1つ1つがキャラクターに命を吹き込み、前評判を跳ねのけて観客の心を動かしたのは間違いないだろう。

 連載終了から26年ぶりの映画化にも関わらず異例の大ヒットとなった『THE FIRST SLAM DUNK』。ヒットの理由を紐解いてみれば、それは偶然ではなく間違いなく必然のものだった。もしまだ公開前の批判から映画を見るのをためらっている人がいるのなら、その批判は一旦忘れて映画館に足を運ぶことをおススメしたい。

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