『邪神ちゃんフェス』開催中、集大成的イベントでわかるキャラの“作り込み“の見事さ

 5月4日、2022年の話題をさらったアニメ『邪神ちゃんドロップキック』のイベント「邪フェス Jashin Chan FES(邪神ちゃんフェス)」が、マルイ錦糸町にあるすみだ産業会館で開催された。

 公式が開催する同人誌即売会のほか、コスプレイヤーの撮影会や、メインキャストによるトークイベントなど盛りだくさんのイベントだ。

 『邪神ちゃんドロップキック』はWebコミック「COMICメテオ」で連載されているユキヲ原作の漫画で、5月12日には21巻が刊行予定である。ここで改めて、原作の魅力について考えてみよう。

 ひとつは、ユキヲが描く女の子がとにかくかわいいことだ。花園ゆりね、メデューサ、ぽぽろん、ぴのなど、かわいい女の子がこれでもかと登場するのである。それに邪神ちゃんだって、性格が邪悪でなければ見た目はギャルで(下半身は蛇だが)、普通にかわいらしい女の子なのだ。

 会場を見て回ったところ、キャラクターのバッジやアクリルキーホルダー、痛バッグを持ったファンが何人もいた。ユキヲのキャラクターデザインの旨さと描き分けの巧みさ、そしてキャラクターの性格付けなど、作り込みの見事さゆえ、それぞれのキャラに推しが存在するのも『邪神ちゃん』ならではだと思う。ちなみに記者の一押しはメデューサとぺこらである。

 また、ユキヲのデザインするキャラの衣装も実にかわいいのだ。現にユキヲはロリイタ服の描写に定評がある漫画家である。花園ゆりねのデザインにも、『武蔵野線の姉妹』で見られたロリイタ好きゆえのこだわりが存分に生かされている。『邪神ちゃん』には和服から中華風の服からメイド服まで様々な服をまとう女の子が登場し、ユキヲが描く衣装のかわいさを堪能できる、集大成的な作品といいっていい。

 ブラックユーモアあふれるギャグのセンスも魅力だ。ユキヲはかつてリアルサウンドブックで筆者が行ったインタビューで、もともとギャグ漫画が好きだったと述べている。邪神ちゃんがゆりねに懲らしめられる描写はいちいち笑ってしまうし、ゲス顔や笑い顔など邪神ちゃんの表情の豊かさも楽しい。またTwitterなどのSNSネタや、最近では昆虫食のネタなど、社会風刺を随時盛り込んでいることから、ある意味で漫画の王道をいく漫画ということもできる。

 また、基本的に漫画は一話完結の読切なので、何巻から読んでも楽しめる。既に述べたようにキャラの個性が立っているので、ぶっちゃけ知識ゼロでいきなり13巻とか、19巻から買っても問題なく読み進められる。単行本の巻数が多いと躊躇する人も多いと思うが、『邪神ちゃん』はそんなことがなく、初心者に優しく、入りやすいのが嬉しいポイントだ。

 このように、『邪神ちゃん』は語りだすと止まらないほど魅力あふれる作品なのだ。記者が困っているのは、dアニメストアで『邪神ちゃん』を見た後に『ラブライブ!サンシャイン!!』を見ると、小原鞠莉の声が邪神ちゃんの声に聞こえてしまい、なんともいえない気持ちになることくらいである。

 ちなみに邪神ちゃんと小原鞠莉は声優が同じ鈴木愛奈であり、記者の友人には『ラブライブ!サンシャイン!!』をきっかけに『邪神ちゃん』ファンになった人もいる。なお、ペルセポネ2世役の飯田里穂は『ラブライブ!』で「テンションあがるにゃー!」で有名な星空凛を演じ、μ'sの一員でもある。

 また、ゆりね役の大森日雅をはじめ、久保田未夢、佐々木李子、山下七海、田中美海など、『プリパラ』や『キラッとプリ☆チャン』(プリティーシリーズ)に出演する声優が多いのも特徴である。ラブライブ!シリーズやプリティーシリーズのファンも、親しみやすいのではないだろうか。

 なお、原画の展示や物販などが行われる「大邪神ちゃん展」は、錦糸町マルイで5月14日まで開催されている。会場でしか買えない限定のグッズも多く、会場のレイアウトも頻繁に変わるので、何度訪問しても楽しめる。単行本も販売しているので、気になった人は一気に大人買いをしてもいい。ぜひこの機会に訪問して、邪神ちゃんの世界観に触れてみてはいかがだろうか。

▼イベント情報
大邪神ちゃん展

【開催期間】
2023年3月24日(金)~5月14日(日)
営業時間:10:30~20:00
【開催場所】
錦糸町マルイ 5F
【入場料】
入場無料

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