『明日カノ』『TSUYOSHI』などヒット作続々「サイコミ」の強みとは? 編集長・葛西歩×開発ディレクター・高超インタビュー

主人公への共感性と週刊連載厳守、「サイコミ」のポリシー


――Web版リニューアルによってますますパワーアップした「サイコミ」ですが、改めて今後の編集方針を教えてください。

葛西:まず、主人公への共感性はすごく大切にしています。物語の展開もそうですが、キャラクターをしっかり作る……これは編集部として大事にしている考え方です。あとは、週刊連載厳守という点。基本的に人は週間サイクルで行動する傾向にあると思っていて。例えば金曜日に『明日、私は誰かのカノジョ』の最新話を読むとか、ルーティン化されている物事が多いのではないかなと。だから、今これだけエンタメやコンテンツが溢れている世の中で、いかにそのサイクルに入り込めるかどうかが勝負だと考えています。

――休載した間に別のコンテンツに熱中してしまう可能性もありますよね。

葛西:まさに一度休載しただけでもかなりダメージが大きいんですよね。週刊連載を徹底するのは、作家さんはもちろん編集も大変だと思いますが、今後も「サイコミ」のポリシーとして大事にしていきたいです。

――女性向け・男性向けともに多くのヒット作を生み出していますが、今後注力したい作品ジャンルなどはありますか?

葛西:長期的に見て、少年漫画を強めたいという考えはあります。ですが、ジャンル的な強いこだわりがあるわけではありません。当然『明日、私は誰かのカノジョ』は少年漫画ではありませんし、女性読者からの支持が厚い作品です。ですので、特定ジャンルにだけ力を入れずに、最終的にはどんなジャンルでも大ヒットを送り出せたらなと。

――今、直面している課題感がありましたら教えてください。

葛西:ヒット作に引っ張られ過ぎないようにすることでしょうか。それこそ、先ほどから話に挙がっている『明日、私は誰かのカノジョ』、そして『TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには』が今非常にヒットしています。この2作品の色は「サイコミ」にとってとても大事ですが、この色に引っ張られ過ぎないように……言い換えれば、さらにこの2作品に並ぶ、あるいは上回る色を出せるような作品を作らないといけない、というのは課題の一つです。

 あと、これはどのウェブ漫画配信サイト・漫画アプリでも直面している課題だと思いますが、漫画配信サービスらが受けていたある種の特需が、コロナの社会的な制限が緩和されていくにつれて終息していっている。そして、物価の高騰によってみなさんの財布の紐がどんどん固くなっていく……そういった社会情勢とどう向き合っていくのかが今後重要になってくると感じています。ですが、我々としては、ユーザーさんにいかにお金を使わせるのかではなく、そういった情勢の中でどうしたら「サイコミ」を組み込んでもらえるのかを課題として捉えています。

ウェブ漫画配信サイト・漫画アプリ界のトップに

――Web版、アプリ版の今後の展望についてお伺いできればと思います。

高:最高の店を作りたいと思っています。例えるなら、今の「サイコミ」には最高の料理を作るシェフがいる状態。その料理をいかに最高の状態でお客様に提供できるか……あとはもう僕たちが最高の看板、環境、メニューを作るだけです!

葛西:Web版、アプリ版に括らず、週刊連載で最高のヒットコンテンツを作り続けていくのみですね。実は昨年「サイコミ」では18作品の新連載を立ち上げたんです。クオリティはもちろんですが、こういった速度感も我々の強みだと思っています。ついてきてくださる作家さん、そして編集者は大変だと多いますが、数あるウェブ漫画配信サイト・漫画アプリ中でトップにいきたいと思っているので、ブレずにやっていきたいですね。

――最後に葛西編集長のおすすめ作品を教えてください。

葛西:全部ですね(笑)。と言いながらも、『明日、私は誰かのカノジョ』はドラマが絶賛放送中、かつ原作は最終章に突入していて今盛り上がり最高潮なのでぜひ読んでほしいです。今年の1~3月にかけて『あなたは私におとされたい』、『バツイチがモテるなんて聞いてません』がドラマ化されたこともあり、「サイコミ」は女性向け作品が強い印象をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、実は男性向け作品も負けていないんです。読者層も実は男性の方が多いですしね。『TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには』を始めとするバトル漫画やスポーツ漫画……そういった少年漫画的な面白さも取り揃えているのでぜひ読んでいただけたらなと。幅広いジャンルの作品を取り揃えている「サイコミ」らしさ、そして週刊漫画の面白さをぜひ味わってほしいです。

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