ネタバレサイトに罰金50万円の略式命令 セリフやストーリーの書き込みも違法の判断に
漫画の“ネタバレサイト”を運営していた、石川県金沢市の45歳の会社役員に対し、金沢簡易裁判所が4月11日までに罰金50万円の略式命令を下したと、NHKほか大手メディアが報じた。
ネタバレサイトは雑誌やアプリなどに掲載されている漫画のセリフなどが閲覧できるサイト。会社役員は小学館のアプリに掲載された「ケンガンオメガ」の2話分のセリフやストーリーについて具体的に説明した文章を、著作者に許可なくネット上でUP。著作権法違反の疑いで書類送検されていた。
ネタバレそのものは違法ではない。例えば漫画のファンがTwitterやブログにいち早く感想を書き込むような例であれば、特段の問題はない。もちろん、ファンの間では少しでもネタバレされるのを嫌がり、自ら入手するまでにネタバレをするTwitterカウントを見ないように自衛している人も少なくないが、あくまでも感想レベルであればセリフやストーリーの概略を書き込んでも問題視されないのである。
しかしながら、今回の事例は感想の域を超え、一字一句ほぼ詳細にセリフを書き写していた。その悪質さから著作権侵害に当たると判断され、摘発となったわけである。
漫画の人気の拡大とともにネタバレサイトは拡大している。近年は友人間の会話の糸口にするため、若者の間ではいわゆる“ファスト映画”を視聴するケースもあり、こちらも問題になっているが、ネタバレサイトは漫画のストーリーを手軽に知れるとあってアクセス者が急増した。
ネタバレサイトは漫画の愛好者同士の情報交換の場を偽装しているケースもあり、巧妙になっている。サイトの運営者は広告収入を得ているものと考えられ、漫画の違法ダウンロードサイト「漫画村」などに続く、出版社や漫画家を脅かす新たな社会問題になっている。
2017年には『ONE PIECE』の画像を発売日前にネット上に公開したとして、「最新ジャンプネタバレ ワンピースネタバレ速報」の運営者を逮捕している。ITmediaの報道によれば、3億円もの広告収入を得ていたとされる。こうした犯人は早売りする書店などで雑誌を購入し、いち早く画像をUPしていたとされ、その悪質性がよくわかる。
今回の会社役員のケースは従来のような漫画の画像の違法アップロードではなく、主にセリフやストーリーの書き込みが争点になったが、それも違法であると認められた。ネタバレサイトの摘発は続いており、今後も増加すると考えられる。
かつて「漫画村」の騒動の際にも言われたことだが、違法アップロードは漫画家や出版社を疲弊させ、将来的に漫画が読めなくなる可能性もある極めて悪質な行為であり、文化破壊とも言うべきものだ。漫画はしっかりと購入したうえで読みたいものだ。