浅田彰や柄谷行人との交流も 坂本龍一の出版界における歩みを振り返る

 先鋭的な文化人に話を聞くという立場で様々な本を刊行してきた坂本だが、後年は非戦、脱原発など自身の主張でもある社会的テーマの出版物にかかわった。また、まさに教授のように自らが教える立場にもなっていった(実際、2014年からは母校の東京芸大で客員教授を務めてもいる)。

「2008年からは、坂本が監修する音楽全集として『commmons: schola(コモンズ・スコラ)』をリリースします。本作は坂本が各界の専門家とともにセレクトした楽曲のCDと、解説ブックレットが一体となったもので、第1巻ではバッハの魅力を浅田彰、小沼純一とともに読み解いていました。コンセプトは、NHK Eテレの音楽番組『スコラ 坂本龍一 音楽の学校』にも引き継がれ、人気を博しました。本シリーズは、坂本の一連の出版活動においても集大成的なものだったと思います」

関連記事