【侍ジャパン】大谷翔平に夢を見せる「野球漫画」は描けるのか? WBCが創作を超えてしまったと話題に

 野球日本代表「侍ジャパン」が日本時間22日、第5回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の決勝戦でアメリカを破り、劇的な優勝を果たした。

 3対2と日本の1点リードで迎えた9回、痺れる場面でクローザーとして登板し、試合を締めくくったのは世界の二刀流・大谷翔平。対するバッターは大谷のチームメイトにして、MLBを代表するスーパースターであるマイク・トラウトだった。結果、見事に三振に切って取り、日本の勝利ーーこれが“漫画のような展開”どころか“漫画を超えてしまった”と話題になっている。

 その理由が、Twitterのトレンドにもなった「茂野吾郎」を主人公とする人気野球漫画&アニメ『MAJOR』で、よく似た展開が描かれていたことだ。

 160kmのストレートを投げ込む剛腕の吾郎は「W杯」で日本代表のクローザーを務め、現実と同じように、決勝のアメリカ戦に登板。相手はアメリカのスターで、お互いの父親の代から深い因縁のあるジョー・ギブソンJr.だった。

 違ったのは、大谷はトラウトから三振を奪って試合を決め、吾郎はギブソンJr.にサヨナラ満塁ホームランを浴びたこと。どちらも野球強国・日米を股にかけたドラマチックな展開だが、ほんの数年前であれば、現実より『MAJOR』の方にリアリティがあり、吾郎が胴上げ投手になるのは「できすぎ」だっただろう。その上、バッターとしても快音を連発、俊足でもチームに貢献し、大会MVPになる……という大谷が描いた筋書きは、高校野球が舞台でも陳腐に感じられてしまったかもしれない。

 果たして、漫画や小説で野球をテーマにこれ以上のサクセスを描くことはできるのだろうか。「到達点」を描くことが必ずしも創作の目的ではない、ということは断った上で、メジャーリーグという最高峰の舞台で投打ともにトップレベルの活躍を続け、世界大会で優勝を決めてMVPになる、というのは冷静に考えて「できすぎ」以上だ。「最多勝&ホームラン王」「完全試合+サヨナラホームラン」など、実現性の極めて低い偉業はまだまだ想像できるが、大谷翔平なら……という可能性を感じさせるのが恐ろしい。

 もちろん、主人公を凌駕するプレイヤーが出てきても『MAJOR』は面白いし、高校球児たちの奮闘を丁寧に描いた『おおきく振りかぶって』や、“野球とカネ”をテーマにした『グラゼニ』の魅力も損なわれない。そんななかで、大谷翔平に夢を見せるような野球漫画が今後生まれていくか、注目したいところだ。

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