【連載】『ガンダムZZ』は“見なくていい”作品なのか?

『機動戦士ガンダムZZ』を読み解くためのサブテキストは『ワイルド・スピード』だった? 今だからわかる共通点

 ジュドーや仲間たちの「不良でありつつもマシンに習熟しており、さらに家族思い」というジャンク屋的要素を進化発展させた先にあるのは、『ワイルド・スピード』シリーズのテイストではないだろうか。今でこそスーパーチンピラスパイ映画になっているワイスピも、元を辿ればクルマの運転がうまいストリートレーサーたちが大規模な窃盗にチャレンジする不良映画だった。考えてみれば、ドミニク・トレットも「妹思いな不良」である。「マシンに強い不良たちがチームを組んで活躍する」という点についていえば、第一話の時点から『ZZ』とワイスピはけっこう近い立ち位置にいるのだ。

 同時に、『ZZ』がガンダムシリーズの中でもちょっと異端視されている理由も、このあたりにあるのではないだろうか。メカと戦争とシリアスなドラマを期待していたのに「ノリが軽い不良の集団が活躍する、ワイスピみたいなガンダム」が出てきたのでは、確かにファンは戸惑うだろう。ましてや、1986年にワイスピは存在しなかった。その状態で『ZZ』をどう食べていいのかわからず、後続の作品への繋がりが薄い点も手伝って、結果的に「見なくてもいい」という判断に至った……というのは穿ち過ぎだろうか。

 しかし、今の我々には『ZZ』を読み解くためのサブテキストとしてワイスピがある。「ワイスピみたいなガンダム」だと思った時、『ZZ』の見え方はどのように変化するのか、第三話が楽しみである。

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