『進撃の巨人』諫山創は世界的大作家へ 漫画界のカンヌ「アングレーム国際漫画祭」特別賞受賞の意味

 大ヒット漫画&アニメ『進撃の巨人』作者の諫山創が1月28日、欧州最大級の漫画の祭典で“漫画界のカンヌ”とも呼ばれる「アングレーム国際漫画祭」にて、50回目の開催を記念する特別賞を受賞した。

 1974年にスタートしたアングレーム国際漫画祭は、「バンド・デシネ」(フランス語圏で出版されている漫画の総称)という文化を生み出したフランスで、最古と言われる漫画関連の大型イベントだ。

 対象となるのは基本的にバンド・デシネであり、当然、表彰されるのはフランスやベルギーの作品・作家が多い。しかしフランス語に翻訳・出版されている人気作も扱われるため、近年で日本漫画/作家の躍進が目立っている。今回も諫山だけでなく、池上遼一と伊藤潤二が名誉賞を受賞、作品としては押見修造『血の轍』がシリーズ賞を、坂口尚『石の花』が遺産賞を受けており、直近では2019年、高橋留美子が「グランプリ」を受賞したことも話題になった。

 同漫画祭のメインとなる賞は、その年のもっとも優れた漫画とその作家に送られる「最優秀作品賞」であり、漫画界の発展に貢献した作家に送られる「グランプリ」だ。「最優秀作品賞」は2007年に水木しげる『のんのんばあとオレ』が、「グランプリ」は2015年に大友克洋が日本人として初めて受賞しており、基本的にはレジェンドたちが名を連ねることで、日本でも権威ある賞として知られてきた。

 そんななかで、諫山が受賞した「特別賞」は、記念の年にグランプリと並んで表彰されるもので、15周年や2000年など例外もあるが、基本的に10年に一度の賞だ。グランプリの候補になるような作家の中から厳選されており、漫画界を象徴する存在のひとりと評価されたと言える賞で、10年前(2013年)の40周年においては、あの鳥山明が受賞している。『ドラゴンボール(Z)』と『進撃の巨人』では作品のテイストも対象読者も違うが、これから10年の子どもたちは、空を駆け回る想像をするとき「舞空術」より「立体機動」を思い描くだろうか。

 海外でも『進撃の巨人』の人気は絶大だ。アングレーム国際漫画祭の開催国・フランスで言えば2021年5月、18歳の国民全員に文化活動に使える「カルチャー・パス」を300ユーロ(約4万円)分を配布したところ、その多くが漫画の購入に使われ「マンガ・パス」と呼ばれる事態に。仏「Le Figaro」紙は、そのなかで『進撃の巨人』の売り上げが30%アップしたと報じており、多くの人気作の中でも抜群の存在感を放ってきた。当然アニメも好調で、2021年には世界で需要の高いテレビ番組を表彰する米「The Global TV Demand Awards」にて、『進撃の巨人』が同年、世界で最も大きな需要を持ったテレビシリーズとして表彰されている。

 商業的な成功に、それだけでは必ずしも評価されない国際漫画祭で10年に1度の特別賞まで受け、「連載作品一本」というキャリアで“漫画業界の顔”になった諫山創。次回作の予定は明かされていないが、もし新作が開始されるなら、第一話から世界が注目する作品になりそうだ。

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