松本潤主演『どうする家康』は独特な「映像ルック」も見どころ! ガイドブックから紐解く魅力

 どういうことか。昨年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』においても、何度か用いられていた手法――スタジオに設置した巨大なLEDウォールにあらかじめバーチャル空間で制作した背景を投影し、俳優がそこで演技をする手法を、今回の大河ドラマでは、全面的に用いているのだ。大規模なオープンセットや野外ロケに頼ることなく、大迫力の映像を作ること。同記事の中で、美術総括の山田崇臣は、その具体的な「やり方」について、次のように解説する。

「日本各地の国宝や重要文化財、復元された建築物などから、中世という時代を表現するために汎用的に使えるものを厳選し、フォトグラメトリーという手法で建築アセット(素材)として3D化しました。それを組み合わせて城下町や農村、城、砦などいろいろなシーンで使える汎用風景を制作。人物や馬のアセットも作り、遠景のエキストラとして配置します。群衆シュミレーションソフトなども活用すれば、より大人数の、迫力ある合戦シーンの映像も作り出せます。このアセットを軸としたバーチャルプロダクション構想により産み出される汎用風景がオープンセットの代わりと言えますね」

 大河ドラマとしては初めてオープンセットを作ることなく、技術革新に伴う最新の「技法」を全面的に用いながら生み出される今回の大河ドラマ。その独特な映像ルックは、視聴者たちにどう受け止められていくのだろうか。そして、その映像ルックは、「戦国時代の覇者」として知られる徳川家康を、あくまで「普通の人」として描こうとする脚本家の「思い」と、どのような化学反応を見せていくのだろうか。そのあたりが、今回の大河ドラマの大きな「見どころ」であり、何よりの注目ポイントになっていくのだろう。

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