『機動戦士ガンダム ヴァルプルギス』はオールドファンも要チェック 最終巻に感動の声続々

 『機動戦士ガンダム ヴァルプルギス』のコミックス最終巻となる10巻が12月26日、発売された。

 月刊誌「ガンダムエース」で2017年から連載され、回を追うごとに人気を高めてきた本作。同誌の創刊15周年とガンダムゲームの生誕30周年を記念した作品で、ゲームフリークのなかでは知名度が高いが、アニメ化されていないこともあり、一般的に広く認知されているとは言い難いかもしれない。

 物語の冒頭、主人公のマシロ・オークスが“ゲーム配信”をして父親に怒られる……というシーンで始まるため、若い読者の共感を呼ぶ反面、初期から『ガンダム』シリーズを追いかけ続けてきたファンは面食らうだろう。しかし、本作は「宇宙世紀」(U.C.)のなかにある物語で、過去の名作を補完する楽しさもある。

 宇宙世紀0089年、かつて“木星帰りの天才(ニュータイプ)”と呼ばれたパプテマス・シロッコと関係があると思われる主人公マシロ・オークスは、謎のガンダム「オーヴェロン」と出会い、新たな戦乱へと巻き込まれていくーー。

 過去作との関連で時系列を整理すれば、『ヴァルプルギス』は『機動戦士ガンダムZZ』で描かれた第一次ネオ・ジオン抗争(宇宙世紀0088年)と『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』で描かれた第二次ネオ・ジオン抗争(宇宙世紀0093年)の間に位置付けられる。前後の作品に思い入れのある人は、より深く楽しめるだろう。マシロの成長に過去作の主人公を重ねて見るのも楽しく、同じ世界線で活躍したカミーユ(Zガンダム)やジュドー(ガンダムZZ)が好きな人はチェックしておきたい。

 完結を機会に読み始める人のためネタバレは控えるが、過去作品のオマージュを含み、パプテマス・シロッコやハマーン・カーンなど、お馴染みの名前が飛び交うのもロマンがある。そして、謎のガンダム「オーヴェロン」は「ジ・O」に似た偽装装甲をまとった段階から重厚でカッコよく、ガンダムタイプの姿、支援型増加兵器との合体による強化形態への変化版も含め、秀逸なデザインだ。

 物語が進むごとに読者の評価も高まっており、最終巻について、すでにSNS上では「ここ10年位のガンダム漫画で1番面白かった」「オーヴェロンのガンプラ出るといいですね」「良い終わり方だった」と好評の声が上がっている。「ガンダムエース」2023年3月号(※2023年1月26日発売)より、前日譚となる『機動戦士ガンダムヴァルプルギスEVE-覚醒前夜-』の短期集中連載が告知されているため、未読の人は予習の意味で読破しておきたい。


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