2022年 Yahoo!ニュース 本屋大賞 ノンフィクション本大賞 川内有緒「目の見えない白鳥さんとアートを見にいく」に決定

受賞を喜ぶ川内有緒さん(中央)と今回の作品に協力したマイティこと佐藤麻衣子さん(左)と白鳥建二さん(右)

 本日2022年11月11日「Yahoo!ニュース 本屋大賞 2022年ノンフィクション本大賞」の授賞式が14時から行われ、大賞に川内有緒さんの『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』(集英社インターナショナル)が選ばれた。

 本賞はヤフー株式会社が運営する日本最大級のインターネットニュース配信サービス「Yahoo!ニュース」と、書店員が「面白かった」「お客様に勧めたい」と思った本への投票で決定する「本屋大賞」が連携して開催されている。より多くの読者が良質なノンフィクション作品に触れ、世界で起きている事象について考えを深めてもらうことを目的として2018年に新設され、今回で5回目となる。

  全国の書店員の投票による一次選考と、その後の二次選考を経て、6冊の候補作がノミネート。厳正な審査を経て大賞が決定した。

 大賞に選ばれた『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』は、51歳、全盲の美術鑑賞者である白鳥建二さんとともに美術館めぐりの追体験を楽しみながら、社会を考え、人間を考え、自分自身を見つめ直すことができる新しいノンフィクション作品。開高健ノンフィクション賞受賞後第一作となっている。

 このたび、Yahoo!本社の授賞式に登壇した川内さんは受賞の知らせを聞いた瞬間を、「受賞の報告は担当編集者から電話があって知りました。増刷の知らせかなと思って電話をとったら、まさかの受賞の知らせで驚きました。娘も『おめでとう~!』と言ってくれて、抱き合って喜びました」と、振り返った。

 会場を訪れていた白鳥建二さんは、開口一番「めでたい!」と一言。「(川内)有緒さんの本がでたおかげで、いろいろなところに一緒に出歩くことができました。大賞を受賞したことは、『めでたい!』という言葉しかでてこないくらい凄い」と、喜びのコメントを寄せた。

 マイティこと佐藤麻衣子さんは、「2019年に、川内さんと白鳥さんと一緒に美術館巡りを始めたときは、まだ川内さんが本を書く予定もありませんでした。まさか、大賞を受賞するとは思いませんでした。この面白い美術鑑賞の方法を本にしてもらいたいと思っていたので、叶ってラッキーでした」と、笑顔で語った。

 本書で紹介されるのは、白鳥さんの周りで、川内さんとマイティがそれぞれの作品について会話をする、一見ユニークな鑑賞方法だ。川内さんは、「言葉にすることによって、細かいディテールまではっきり見るようになります。美術作品を深く知ることにもつながり、目の解像度が上がります。美術作品の新しい見方を発見したような感動がありました」と、語った。

 最後に、川内さんは「この本はアートと会話という、すごく珍しい、一風変わった本ですが、大勢の人が読んでくれて感激しています。白鳥さんとマイティ、そして旅に同行してくれた友人、アーティストや何かを伝えようと表現してきた人たち、美術や文化を愛してきた人、この本を出すために力を貸してくれた編集者と出版社のみなさん、全国の書店員さん、読者のみなさんに感謝しています。感謝を胸に、これからも書き続けていきたいと思います」と、感謝の言葉を述べた。

なお、ノミネート作品は以下の通り。※作品名五十音順
◆「朝日新聞政治部」 鮫島浩/講談社
◆「嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか」 鈴木忠平/文藝春秋
◆「さよなら、野口健」 小林元喜/集英社インターナショナル
◆「ソ連兵へ差し出された娘たち」 平井美帆/集英社
◆「妻はサバイバー」 永田豊隆/朝日新聞出版
◆「目の見えない白鳥さんとアートを見にいく」 川内有緒/集英社インターナショナル

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