Repezen Foxx・DJ社長は他のインフルエンサーとどこが違う? “合理性の外側”にある魅力を考察

 世界を視野に活動するDJ集団で、YouTubeのチャンネル登録者数は341万人を超える「Repezen Foxx」(レペゼンフォックス)。その1st写真集であり、初の書籍となる『大炎上 レペゼンフォックス 1st Artist BOOK』(宝島社)が、12月16日に発売されることが決定した。

 Repezen FoxxリーダーのDJ社長は8月、格闘技イベント「Breaking Down 5.5」に出場し、話題の“10人ニキ”にTKO勝利。先日は政界への出馬を表明(後に断言したことを撤回)するなど、話題をつくり続けている。多くの人気YouTuberが写真集や自伝、その他、専門性を生かしたさまざまな書籍を刊行している“インフルエンサー本”全盛のいま、「レペゼン地球」時代から多くのファンを抱え、熱狂的な支持を集めてきたRepezen Foxx、ならびにDJ社長がこれまで正式に「本」を出していなかったことは、なかなか意外だ。

 DJ社長/レペゼンフォックスはなぜ、インフルエンサー界隈で際立った存在感を持っているのか。その活動やパーソナリティをよく知らない人からすれば、“お騒がせYouTuber集団”のイメージが強いと思われるが、体を張った過激な企画や度を越した悪ふざけ、数々の炎上騒動などのエピソードとは裏腹に、DJ社長が描くビジョンや「言葉」に注目し、共感するファンや著名人が多く見られる。DJ社長が40分以上にわたり、半生と哲学を語った動画「【好きなことで、生きていく】『レペゼン地球-DJ社長-』」は1500万再生を伺う勢いで、興味本位で視聴した人々をファンに変え、「書籍化」を求める声も上がる熱いトークを展開している。

【好きなことで、生きていく】『レペゼン地球-DJ社長-』

 「言葉」自体が商品になるインフルエンサーは、多いとは言えないだろう。そのなかで、“金持ちYouTuber”ヒカルが9月30日、初の著書となる『心配すんな。全部上手くいく。』(徳間書店)を刊行。発売後1週間で25万部を突破するという記録的なベストセラーになっており、DJ社長が自伝やビジネス書を出せば、これに近い数字が期待できるかもしれない。これまで出版社が声をかけていないとは考えづらく、単に本人に関心がなかったか、あえて出してこなかった、あるいは時期を見計らっている、と推測することができる。

 そもそもDJ社長は「生き様」に人がついてくると考えているふしがあり、戦略的な思考を明かすことも多いが、リスクがなく安定をとった(あるいはそう見える)行動を起こすことが少ない。例えば、自分たちはYouTuberではなく、あくまでアーティスト集団だ、という考えから、事務所をめぐるトラブルで借金が膨れ上がった2021年6月まで、Repezen Foxx(レペゼン地球)はYouTubeチャンネルを収益化してこなかった。チャンネル登録者数や動画再生数からして、「巨大」と言って差し支えないだろう利益を捨てており、合理性の外側で人気を獲得してきた面がある。その意味では、「時流に乗ってそれらしい自伝を出す」というのは“らしくない”とも思え、メンバーとともに取り組み、「大炎上」なるタイトルで、おふざけ企画もあるという今回の写真集には、納得感があった。

 熱量のあるトークで地頭のよさを感じさせながら、リスク度外視の行動をとりつづけるDJ社長は、人生そのものがエンターテインメントであり、だからこそ多くの反感を受けながらも、しぶとく人気と影響力を拡大し続けているのだろう。自伝や人生哲学を語った本がいつ、どんなタイミングで出てくるのか、楽しみにしたい。

■書誌情報
『大炎上 レペゼンフォックス1st Artist BOOK』
発売日:2022年12月16日(金)
定価:2420円(税込)
判型:B5判/ページ数:192ページ

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