ドタバタコメディ漫画『4人はそれぞれウソをつく』はなぜ人を感動させる? アニメ放送に備えて原作をチェック

 人気コメディ漫画『4人はそれぞれウソをつく』(橿原まどか)のテレビアニメが10月15日深夜、いよいよスタートする。

 「別冊少年マガジン」(講談社)で連載中の同作は、仲のいい女子中学生4人組が、それぞれ巨大な秘密を抱えながら、友情を深めていく物語だ。一見、突飛な設定のドタバタなコメディだが、実は心温まる作品としてファンに愛されている。

 主要キャラクターはリッカ、千代、関根、翼の女子中学生4人組。それぞれが抱えている秘密がぶっ飛んでいて、設定から興味をそそられる。

 リッカは地球に不時着した「宇宙人」であり、「銀河革命同盟軍第一〇九八大隊・大佐」という仰々しい肩書きを持つ。3人の“天真爛漫な友人”であり続けるため、慣れない地球の作法に合わせていくことにも必死だ。

 千代は忍者の里を逃れてきた「抜け忍」で、高い身体能力を持つ。追手との死闘を繰り広げているため生傷が絶えず、プライベートについてあまり語らず誤魔化してきたため、「お嬢様」と認識されている。

 関根は人の思考が読み取れてしまう「超能力者(サイキッカー)」で、政府の監視下に置かれている。それゆえ、リッカと千代の「秘密」には気付いているが、能力が「同性(女性)」に限定して発動するため、後述の翼の“正体”はわかっていない。

 その翼は、双子の姉と入れ替わり、女子校に入学した「女装男子」だ。翼が合格した男子校に、好きなアイドルが入学したことを知った姉の発案であり、年上好きの彼にやましい気持ちは(ほとんど)ない。

 このようにキャラクターの立った4人が、秘密を守るためときに無茶に思えるウソを交えながら、コミュニケーションをとっていく様子がシンプルに面白い。設定からカオス感満載で、笑いとともに不思議な癒しも感じる作品だ。

 一方で、作品の大きなテーマになっている「ウソ」が、必ずしも人を騙すためのものでなく、互いを気遣い、守り、慈しむためのものが多くなっていくことが、本作を人気作に押し上げた要因に思える。原作を読み進めていると、不意にカオスな設定を忘れ、単純に、ちょっぴり変わった4人の青春と友情の物語を見ている気分になる瞬間があるのだ。

 「秘密」という要素を抜けば、愛らしい亜人たちの学園生活を描いた『亜人ちゃんは語りたい』や、実は父親がドラゴンで、その能力が発現してしまった女子高生を周囲がソフトに受け入れていく姿が心地いい話題作『ルリドラゴン』などが好きな人は、すぐにハマれる作品かもしれない。

 大小の差はあれ、現実にも誰もが人に言いたくない秘密を抱えているもの。『4人はそれぞれウソをつく』を読んでいると、そこで周囲の人々を「騙す」より、思いやりを持ち、いい関係を築くための努力をする方が、精神衛生上も正しいのではないかと思わされる。アニメ版でハマった人は、原作の漫画もチェックしてみてはいかがだろう。

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