【お酒と漫画】飲む前に読んでもつまみにも 思わずお酒をあおりたくなる酩作4選

夜、仕事終わりに飲むお酒はうまいし、寝る前にぼんやりテレビを観ながら飲むお酒もうまい。休みの日に昼から飲むお酒もうまい。
  
 いつ飲んでもおいしいかというとそういうわけではない。「飲みたいなあ!」という気持ちになったとき、呷る一口がおいしいのだ。そんな飲みたい気持ちにさせてくれる漫画を紹介する。

■新久千映『ワカコ酒』

新久千映『ワカコ酒』1巻(徳間書店刊)

 主人公は26歳OLの村崎ワカコ。飲兵衛女子で仕事帰りや休みの日に一人で飲みに行くのが彼女の楽しみだ。おいしい酒とおいしいつまみがあれば幸せ。出てくる料理がおいしそうなことはもちろんのこと、メニューを選び、料理が出てくるのを待っている時間もしっかりと描かれているのがいい。お酒が好きな人の楽しみをギュッと詰まっている。



 1話が短いので、サクッと読めるところもいいが、お酒を飲みながら読むのにも良さそうな作品だ。ちなみに、ときどき描かれる宅飲みも真似したくなるものが多い。

■大島千春『いぶり暮らし』

大島千春『いぶり暮らし』 1巻(コアミックス刊)


 カフェ店長で26歳の頼子とフリーターで24歳の巡カップル。同棲している2人の休みが重なるのは週に1回だけ。その日に、一緒に燻製をするのが楽しみ。

 オーソドックスな燻製から、そんなものまで燻製して大丈夫なの!? というものまで登場するので飽きない。読んでいると自然と燻製がしてみたい……と思うのだ。作中では燻製料理+白米も多いが、どれもお酒と合うのは間違いない! と思わされるラインナップだ。
 少しずつ仲を深めていく頼子と巡の関係にも注目だ。

■しわすだ(作画)/秋川滝美(原作)『居酒屋ぼったくり』

しわすだ(作画)/秋川滝美(原作)『居酒屋ぼったくり』(アルファポリス刊)


 秋川滝美原作の小説『居酒屋ぼったくり』を漫画家。舞台は東京下町にある居酒屋『ぼったくり』。美音と馨の姉妹が切り盛りしており、町の人たちの憩いの場所となっている。訪れる客に合わせた料理と、その料理に合わせた酒を提供してくれる。ぽったくり、と言いつつ、サービスしまくりの店だが、下町ならではの人情が感じられる。

 疲れたときに一杯やりたい。そんな気持ちを満たしてくれる作品だ。また、登場する日本酒などは実際にあるものなので、そういう意味でも楽しめる。

■ヴァージニア二等兵(作画)/転(キャラクター原案)/蝉川夏哉(原作)『異世界居酒屋「のぶ」』

ヴァージニア二等兵(作画)/転(キャラクター原案)/蝉川夏哉(原作)『異世界居酒屋「のぶ」』(KADOKAWA)


 アイテーリアという都に突如現れた「居酒屋のぶ」。いたってシンプルな和風居酒屋だが、アイテーリアでは異質。物珍しさに訪れた客たちがみるみるうちに「のぶ」の魅力に取りつかれていく。

 中世風の異世界で、居酒屋はどう受け止められるのか、醤油も味噌もないその場所では未知の味だ。異世界のものたちが、食べたことのないものの味の表現の仕方が絶妙。未知のものを言葉の限りを尽くして言い表す。それがまたおいしさをより増長させる。丁寧にひとつひとつの料理を作っている「のぶ」の店主のこだわりもおいしさのスパイスだ。

■酒を呼ぶのは料理と美味しそうに飲む表情

 お酒が描かれているだけでは、なかなか「飲みたい」気持ちが刺激されない、より酒を際立たせてくれるおいしい料理があってこそ、という方も多いことだろう。

 だからこそ、いかに料理がおいしそう描かれているか、そして食べる人がおいしそうな表情をしているかがカギだ。もしかすると、お酒を飲みたくさせてくれるのは、お酒をおいしそうに飲んでいる人の表情なのかもしれない。

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